ザ・クインテッセンス4月
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68必ず押さえたい基本機能解剖! 解剖といっても,漢字だらけの名称を覚える必要はまったくないのでご安心ください. さて,臨床現場で患者さんの口の開き方を観察していますと,いろいろな方がいらっしゃいます.きちんと大きく開く方.開くけどその道中ではくねくねと,変な開き方をなさる方.途中までしか開かない方(図2).それぞれ何が違っているのでしょうか? 多くの場合,その謎を解くカギは顎関節の病態に隠されています.本来歯科治療は,それぞれのタイプ別に,とくに補綴治療においては厳密にオーダーメイドされるべきなのです.ここで顎関節の構造(図3)を確認し,さらに機能時の正常像,そして代表的な病態像として2つ,復位性関節円板前方転位と非復位性関節円板前方転位の合計3つを示し(図4~6),それぞれについてわかりやすく解説します. まずは,図3のシェーマで顎関節の代表的な構成要素を確認しましょう.本来,顎関節の機能を詳細に理解するためにはこの図のすべてが大切です.はじめに 私たち歯科医師の専門領域は顎口腔系です.そして,皆さんは何度も折に触れ,1972年に河村洋二郎先生が示された機能的咬合系の図をご覧になっていることと思います(図1). 私たちは,この図に出てくる歯(歯列)については臨床で毎日観察していますし,微細な変化,疾病に日々対応しています.しかし残りのあと3つ,咀嚼筋,顎関節,そしてそれらを統御する脳(中枢)について,どれだけの専門的な知識や診断技能をもっているでしょうか? 実際に直接目で見ることができませんし,イメージすら湧きにくく,また大学での教育も十分だったとは言えないかもしれません. さて,今回はそんな顎関節のお話です.なるべく単純に代表的な事柄をわかりやすくまとめてみました.皆さんの明日からの臨床に役立てば大変うれしく思います.それでは始めましょう.キーワード:顎関節,復位性関節円板前方転位,非復位性関節円板前方転位松島正和/小出 馨*東京都開業 神田歯科医院連絡先:〒101‐0044 東京都千代田区鍛冶町2‐2‐9 第2登栄ビル3F*日本歯科大学新潟生命歯学部歯科補綴学第1講座連絡先:〒951‐8580 新潟県新潟市中央区浜浦町1‐8第1回 シェーマで学ぶ顎関節の仕組みLearning the Mechanism of Temporomandibular Joint by IllustrationsMasakazu Matsushima, Kaoru Koideまる覚え 顎関節なるほどよくわかる!the Quintessence. Vol.32 No.4/2013—0762

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