ザ・クインテッセンス11月
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第2回:歯周病による歯の喪失と患者の個体差千葉英史千葉県開業 千葉歯科医院連絡先:〒270‐1151 千葉県我孫子市本町3‐5‐8Considering the Tooth Presentation Through 300 Cases with Prognosis Over 20 YearsPart2. Tooth Loss and Individual Supportive Therapy of Periodontal Diseaseキーワード:歯周病,個体差,リスクファクター,再生能力Hidefumi Chiba20年経過300症例から歯の保存を考える 初診時に重度の歯周病に罹患していたとしても,若くして歯周病に罹患していたとしても,それで未来が決まってしまうわけではない.症例1(図1~10)は37歳から58歳までみてきている患者である. 20年経過305名のデータで歯の喪失原因の1位が歯周病であり,118歯を失っていることは前回述べた. デンタルエックス線写真上で歯槽骨吸収が前歯部で2mm,臼歯部で1mmを基準とし,初診時に残存歯の多くがそれを越えているものを歯周病の「罹患度高」とすると,305名中119名がそれにあたる.その119名では167歯を失っており,そのうち111歯が歯周病を原因としている.平均すると20年で0.93若くして歯周病に罹患していたが20年間1歯も失っておらず22年後の8032も夢ではない. 一方で,通院しながらも徐々に歯を失う患者もいる.症例2(図11~19)は44歳で来院した主婦で,喫歯の喪失率となる.初診時に歯周病に罹患していたからといってどんどん歯を失うわけではないことを示しているが,初診時年齢30歳以上で歯周病の「罹患なし」と「罹患度低」の患者は122名で,歯周病による喪失率が20年で0.03歯であることを考えると,初診時すでに歯周病に罹患している患者には注意が必要であることは間違いない. 今回はそうした歯周病症例における歯の保存を患者の個体差の観点から考えてみたい.はじめに:歯周病による歯の喪失1.2症例の違い73the Quintessence. Vol.32 No.11/2013—2345

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