ザ・クインテッセンス3月
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「ピリピリする」「ヒリヒリする」あるいは「違和感」といった表現で,患者は舌の痛みの症状を複雑に訴えてくる.口腔内で,もっとも痛みの表現が多彩になされる部位が舌だといっても過言ではない.それだけ,舌は人間にとって敏感な部位といえる.もちろん,舌の表面に糜爛・潰瘍や発赤などがあれば,同部を症状の原因と予測することができるが,なかにはどんなに目を凝らして舌を観察しても異常と認識できる病変が存在しない,いわゆる「舌痛症」と呼ばれる病態もある. そんなとき,読者の先生方はどのように対応されているだろうか? 自分では舌の痛みはよくわからないから,そのまま大学病院へ丸投げ紹介ということもありかもしれない. しかし,すると患者はその大学病院へ行って担当医の診察と検査を受け,その結果の説明を受けるまでは自分の症状についてずっと不安を持ち続けることになる.患者の訴えに対して,もし先生方が何らかの説明なり検査なりをしてあげることができれば,患者さんの不安はその時点でかなりの部分が解消されるはずである. 近年,多様化を増す歯科患者に対応するには,一般の歯科医師であってもそのもてる知識を今まで以上に拡げておくことが求められている.その一助とするためにも,口腔症状としてもっともバラエティに富んだ「舌の痛み」に対して,先生方が具備しておくべき基礎知識と初期対応の手段,そして,必要に応じて行われる専門科との連携のために必要なノウハウを,本企画から学び取っていただければ幸いである. (原田 清)企画趣旨舌の痛みを訴える患者さんが来院した時,あなたは適切な対処ができていますか? きちんとした診察をせずに,いきなり専門科へ紹介していませんか?どのあたりでしょうかね?拝見させてください……これは……?何だろう……???CONTENTSこんな患者は来ませんか?Prologue50Part1まずは知っておきたい!舌の痛みの3つの病態52Part2どう考える?痛みの基礎知識とその捉え方54Part3口の中を見てみよう!舌アトラス56Part4患者情報をいかに引き出すかが鍵!問診(医療面接)の注意点60Part5症状に応じて適切に行う!舌の痛みの鑑別診断62Part6ここまでできる!舌の痛みの検査法64Part7治療かそれとも紹介か?舌の痛みの治療の実際68Part8ポイントをおさえて情報伝達の質を高める!紹介状(診療情報提供書)の書き方72Epilogue歯科医院を活性させよう!7351the Quintessence. Vol.33 No.3/2014—0555

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