ザ・クインテッセンス4月
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4 快適な鎮静法──でも危険がいっぱい今泉うの/吉田和市神奈川歯科大学麻酔科学講座連絡先:〒238‐8580 神奈川県横須賀市稲岡町82社会から問われる医療安全FEATURE巻頭特集 安全で快適な歯科医療の提供には,適切な知識と技術の裏付けが必要である.鎮静法を行えば,呼吸抑制や意識消失,最悪の場合は心停止が起こる可能性もある.鎮静法に対する正確な知識や不測の事態に対応できるための救急蘇生法の技術を身に付けていなければ鎮静法を行うべきではないといえる.また,鎮静法では完全に意識を消失させてはいけない.薬剤の使用法や全身管理に精通した歯科麻酔医との連携が重要である.また,術前に詳細に問診し,既往歴があれば主治医に情報提供を求めて全身状態を把握してから行うことが必要である. 歯科医院ではインプラント治療や歯科恐怖症の患者の治療に対し,鎮静法は「ぼーっとしている間に治療が終わる」,「リラックスして治療が受けられる」と謳われて行われている.とくに笑気吸入鎮静法は安全で手軽な鎮静法として多くの歯科医院で取り入れられているのが現状である. もちろん鎮静法は快適な歯科治療を提供するためのツールとして非常に有用なものだが,その裏には危険が潜んでいる.鎮静法を行うことで生体防御のための反射の低下や,鎮静薬による全身的合併症の発生の危険が生じる.その危険を理解しているだろうか?呼吸停止呼吸抑制意識消失舌根沈下血圧上昇・低下不整脈・徐脈安全・快適は適切な知識,技術があってこそ起こりうる危険を理解していますか?血圧上昇・低下鎮静法全身管理鎮静法麻酔薬の薬理麻酔法術前診査救急蘇生法全身的偶発症への対応緊急用器具の使用法49the Quintessence. Vol.33 No.4/2014—0783

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