ザ・クインテッセンス4月
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&技術力が鍵(全3回) 近年,歯科における患者の審美に対する要求度は高くなり,若年者から中高年者まで幅広い層に望まれるようになった.その審美的要求は歯のみにとどまらず,歯の周囲の軟組織にも拡がってきている.歯周組織にみられる問題は炎症性のものだけではなく形態的な問題も多くみられる.なかでも歯肉退縮は,審美障害や知覚過敏,根面う蝕などさまざまな問題を惹起するものであり,その対処法の1つとして軟組織の再建,すなわち根面被覆が挙げられる1,2.根面被覆術は,いったん成功すれば患者の満足度も高く再発も起こりにくいため,歯周組織の健康維持や審美的改善には大変有効な手段である.その反面,適切な術式の選択や処置がなされなかった場合,予測した結果が得られずに患者の信頼を失うことにもなりかねないため,高い診断力と技術力が要求される治療法であるといえる.根面被覆術にはさまざまな術式があり,その適応症を吟味し,歯肉退縮部位の状況に応じた最適な術式の選択と難易度についての十分な検討が必要であろう. 本連載では,根面被覆が必要なケースの診断において,歯肉退縮部位を6つの項目でレーダーチャート(図1:p103参照)にしてその難易度をはかり,適切な術式を選択するためのフローチャート(図2:p106参照)や処置のポイントなどをまとめた.以下,それらについて,少しでも読者の臨床の手助けとなるように,3回にわたってわかりやすく解説していく.1総論:臨床に不可欠な診断力連載CONTENTS1(4月号) 総論:臨床に不可欠な診断力2(5月号) 診断を生かす技術力①3(6月号) 診断を生かす技術力②技術があっても診断力がなくては意味がないPROLOGUE&技術力が鍵(全3回)101the Quintessence. Vol.33 No.4/2014—0835

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