ザ・クインテッセンス1月
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FEATURE特 集 5 現代医療には倫理的な問題がいくつも見受けられる.食事の経口摂取から胃瘻へ切り替える医療がその典型である.食事の経口摂取は生活者にとって,1つの人生の目的である.回復が見込めない高齢者に胃瘻を設置することは心苦しい選択である.臓器移植など高度医療にまつわる諸問題も同様である.臓器を守ることは大切だが,高齢者に対する臓器単位の医療で「治す医療」に専門医がこだわると大きな矛盾を生じさせる時代を迎えている.現代の医療者は,患者の総合的な利益を考え,臓器横断的に生活機能の向上を図る必要がある. 歯を守ることは臓器別医療を担う歯科医師にとって医療の目的である.しかし,患者にとって歯を守ることは必ずしも目的ではない.患者が歯科診療所歯科医療は従来の臓器別医療から一歩踏み出して生活者の「生活を支える歯科医療」へ生活を支える通院(在宅)医療保健介護主観的幸福感入院医療(病院)病院完結型臓器別医療臓器別医療から生活を支える医療へ地域完結型生活を支える歯科医療へ口腔の健康に関するエンドポイントの再考はじめに114the Quintessence. Vol.34 No.1/2015—0114

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