ザ・クインテッセンス2月
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われわれ歯科医師は口腔領域の疾患に携わり,その機能回復や治癒にかかわっている.本来は治療や機能回復を行うことよりも,その疾患や障害にならないように予防を行うことの大切さを国民に幅広く説いていくことが大事な役割であろう.しかし日本の健康保険制度が疾病保険の様相を呈しているため,なかなか予防には関心が広まらず,現在に至っているといってよいであろう. う蝕を発見してクラウンを製作し咬合機能を回復させることよりも,1本の歯のう蝕からの予防を行い,健全歯として長く保持させるような予防処置や保健指導を行うほうが,よほど価値があり大事なことであろう.当然,歯周炎においても同様なことがいえる.しかし疾病保険の下では,とくにう蝕に対する予防処置には診療報酬点数が設定されていないといってよいであろう.だから行わなくてよいということではなく,歯科としてはその重要性を患者や国民に説いていかなければならない.はじめに:疾患や障害に対する予防処置が大切!死ぬまで自分で食べられる⬇健常な状態で寝たきりなら看病できるメインテナンスが最重要最終目標リハビリテーションどうするかは患者マター,例)クラウン,インレー,CR等 ここで初めて,形成やボンディング剤をどうするかという話がでてくる.なお,材料だけでなく,歯科医師のテクニックと材料が生み出した結果(患者の口腔内で長く機能し,噛める,食べられる)が歯科医療の価値を高めるという共通理解が不可欠.CHECK1 噛めるとは,食事ができること.ただ義歯を入るだけではダメ.また,義歯が合わないというのは口腔乾燥症が疑われることもあるなど,体の知識も網羅する必要がある.CHECK2 生物学的原則に則れば保険治療・自費治療というような区分けはない.患者の口腔内に装着するものは,すべてまっとうにつくらなければならないのは当たり前.CHECK3つまり しかし現在の歯科医師は,疾患があれば口腔内しか見ずにただ治療をするという方が多いといわれている.しかしそれでよいはずがない.今こそ,歯大工ではなく,病気を生物学的にみて,ただ口腔内を治すのではなく患者の生涯にわたる健康に寄与することが重要なのではないか? そして,DOSとPOSをもう一度きちんと理解すべきではないのか?117the Quintessence. Vol.34 No.2/2015—0339

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