ザ・クインテッセンス2015年4月
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すべてのライフステージにおけるフッ化物応用21世紀の健康づくり1 ‌�国は生涯にわたるフッ化物応用を 推進している 西暦2000年から始まった「21世紀における国民健康づくり運動」は「健康日本21」として展開されている.この「健康日本21」は2012年に第1次が終了し,最終評価が行われた.「歯の健康分野」は,「80歳で20本以上自分の歯を保有する」などの目標が達成され,他の健康分野より格段にすぐれた成績であった1.目標の1つであった「12歳児における一人平均う歯数(DMF歯数)を全国平均で1歯以下にする」は,2.9歯から1.3歯まで減少したものの目標には到達できなかった.そこで,今後の課題および対策の抽出として「小児の永久歯う蝕の予防には,フッ化物洗口,シーラント等の実施が有効であるので,地域の実情に応じて推進していくことが必要である」と記載されている1.第1次においては,ほかに「フッ化物歯面塗布を受けたことのある幼児の増加」や「学齢期におけるフッ化物配合歯磨剤の使用の増加」というフッ化物応用の神奈川歯科大学大学院口腔衛生学講座連絡先:〒238‐8580 神奈川県横須賀市稲岡町82荒川浩久Fluoride Application for All Life Stages −Health Foundation in the 21st CenturyHirohisa Arakawaキーワード:ライフステージ,高濃度フッ化物少数回応用,低濃度フッ化物多数回応用はじめに:なぜ今,すべてのライフステージでフッ化物応用か推進が目標として設定されていた. 現在は第2次の「健康日本21」が展開されている2.そのロードマップを図1に示す.歯科分野は「歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善」として引き継がれ,口腔機能の維持・向上(60歳代の咀嚼良好者の割合を80%以上に増加)や歯の喪失防止(80歳で20歯以上の自分の歯を有する者の割合を50%以上に増加)などの目標が設定された.この目標に向かって努力することによって,最終ゴールである「健康寿命の延伸」や「健康格差の縮小」を達成しようというものである. 一方,2013年には「歯科口腔保健の推進に関する法律の基本的事項」が公表され3,フッ化物応用は,乳幼児期,学齢期,成人期,高齢期のすべてのライフステージにおける「う蝕予防方法の普及」に位置づけられた(図2).今やフッ化物応用は,小児だけでなく,成人,高齢者の歯の健康保持のために推進していく時代になった.事実,成人のう蝕予防におけるFEATURE特 集 384the Quintessence. Vol.34 No.4/2015—0746

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