ザ・クインテッセンス 2015年6月
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FEATURE特 集 4豊福 明東京医科歯科大学大学院歯科心身医学分野連絡先:〒113‐8510 東京都文京区湯島1‐5‐45A Psychosomatic Approach for Medically Unexplained Oral Symptoms by General DentistsAkira Toyofukuキーワード:MUOS,歯痛,PIPC 歯痛や咬合は,もっとも歯科的な症状である.それにもかかわらず,その診断に苦慮することは珍しくない.必ずしも教科書どおりでは済まないことが臨床ではしばしばある.治療が難航して初めて,難しい症例だと気づかされることも多い.このような通常の歯科治療を行っても一向に改善しない「歯痛」や「咬合の異常感」は海外でも問題になっており1,それぞれphantom tooth pain(atypical odontalgia), phantom bite syndromeと呼ばれる2. これらは,医学的に説明困難な口腔症状(MUOS)に含まれる.MUOSとは,medically unexplained oral symptomsの略で,「何らかの口腔疾患が存在するかと思わせる症状が認められるが,適切な探索を行っても,その原因となる疾患が見出せない病像」と定義されている(図1).MUOSのすべてがいわゆる“メンタルなもの”に起因しているわけではないことには注意が必要である(図2). 近年の「こころの病」の増加は周知のとおりである.精神科的疾患を有する患者の歯科受診はもはや特殊な事態でなく,誰もが日常的に経験する時代になっている3.しはじめに歯科の不定愁訴(MUOS)への向き合い方104the Quintessence. Vol.34 No.6/2015—1210

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