ザ・クインテッセンス 2015年10月
2/8

 Kapalasらの報告では,上下顎大臼歯(intact pulp)を学生の臨床実習で根管治療を行ったところ,51.5%の根管にレッジの形成が見られた.また歯内療法専門医が根管治療した場合でも,intact pulpで33.2%,再根管治療では40.6%にレッジの形成が見られたという驚くべき結果であった. また,レッジの形成と根管の湾曲度との関係では,湾曲が5°以下でほとんどストレートな根管でも25.5%,湾曲が25°以上の湾曲根管では58.2%の根管にレッジの形成が見られたとしている5.われわれの日常臨床を振り返ってみても,大臼歯の再根管治療を行う際,すべての根管が穿通できることは稀であり,とくにレッジができやすい近心根は穿通できないことが多いのではなかろうか2. このような根管に対し,次の手段として外科的根管治療が必要であるにもかかわらず,下顎第一大臼歯を外科的に根管治療することは長年避けられてきた.その第一の理由はアプローチが難しいことであり,一般臨床家のもっとも苦手な治療の1つかもしれない.本稿は,下顎第一大臼歯近心根への外科的根管治療を成功させるための最善のアプローチについて解説するものであり,この部位を外科的に再根管治療することの理解が深まることを期待する.レッジはどのくらいの頻度で起こる?1歯内療法専門医学生51.5%の根管にレッジを形成上下顎大臼歯で33.2%再根管治療で40.6%レッジを形成下顎第一大臼歯の外科的根管治療はアプローチが難しく一般臨床家がもっとも苦手な治療かもしれない大臼歯の再根管治療においてすべての根管を穿通できることは稀で治療の経過が悪ければ次の手段として外科的根管治療が考えられるBut57the Quintessence. Vol.34 No.10/2015—2087

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です