ザ・クインテッセンス 2016年8月
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はじめに 前回は,支持主体の義歯設計が基本原則であって,とくに遊離端欠損症例における歯牙支持設定の考え方と,支持を最大限活用するために必要な義歯の剛性について述べた.今回は,前回に引き続き,歯牙支持を効果的に活用するためのポイントをもう少し深く掘り下げてみたい.ポイント4:レストの重要性と部分床義歯の設計順序 レストとは,クラスプの鉤体部,義歯床,バーなどから突出し,支台歯のレストシートに適合する金属製の小突起14のことを指し,義歯に加わる咬合力の支台歯への伝達,義歯沈下および横揺れ防止,食片圧入の防止,咬合接触の回復などの多様な機能を備えた,部分床義歯の構成要素のなかでもっとも重要なパーツの1つといえる.遊離端欠損症例や多数歯欠損症例などの歯-粘膜負担義歯の設計を行う際には,最大限の粘膜支持域を考慮したうえで,レストを介して,いかに効果的に咬合力を支台歯へ伝達するかを検討する. 若手歯科医師と部分床義歯の設計についてディスカッションすると,まず,どこにどのクラスプをもってくるかという話になることが多いが,間違っても維持装置(クラスプやアタッチメント)の配置を先行させるべきではない.もちろんレストがクラスプの一部として組み込まれることは多いが,維持装置の種類を決定するのは,1つの着脱方向に対するサベイラインが決定された後の話であって,あくまでも設計の後半段階である.参考までに理想的な設計順序を表1に示す.大阪府開業 奥野歯科医院連絡先:〒530‐0003大阪府大阪市北区堂島1‐2‐5堂北ダイビル1F奥野幾久Part4 : To Effectively Take Advantage of the Support 2Ikuhisa Okunoキーワード: 設計順序,レストシート,サベイドクラウン,ピックアップ印象第4回 支持を効果的に活用するために2BasicforAdvanceDenture Workに強くなろう!本連載は偶数月に掲載①最大限の支持領域の確保②人工歯排列位置と与える咬合の決定③着脱方向の設定と誘導面(ガイドプレーン)による規制④連結装置の設定⑤最小限の維持要素の決定⑥把持・拮抗要素の設定⑦全体としての剛性の確保表1 必要な強度と長期的に機能を得るための設計順序18.170the Quintessence. Vol.35 No.8/2016—1896

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