ザ・クインテッセンス 2016年8月
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埼玉県開業 デンタルクリニックK連絡先:〒332‐0006 埼玉県川口市末広1‐2‐13渥美克幸Part 1:To Achieve Supragingival Tooth StructureKatsuyuki Atsumiキーワード:ファイバーポスト,支台築造,歯肉縁上歯質ファイバー併用レジン支台築造の勘所第1回 歯肉縁上歯質の獲得BasicforAdvance本連載は偶数月に掲載連載にあたって 支台築造は,う蝕や歯内療法で失った歯質を回復し,歯冠補綴が可能な状態にするために必要不可欠な処置である.その歴史は古く,18世紀に著された書物にも関連する記述が認められる1が,術式がある程度整理されたのは1950年代だといわれている2. 支台築造における代表的なトラブルは歯根破折と築造体の脱落である(図1,2).これらを克服すべく1980年代には象牙質接着が,また1990年代にファイバーポストが導入された結果,従来と比較して状況は改善され支台築造の流れは大きく変わった.しかし,この恩恵を受けることができるのは,これらの技術や材料を「正しく用いた」場合のみである.たとえば,従来使用されてきた金属とグラスファイバーは材料工学的にまったく別のものであり,単純に置き換えられるものではない(図3).そして残念ながら,このような事実が浸透しているとは言い難いのが現状である.支台築造におけるトラブル金属とファイバー図1 歯根破折が骨縁下に発生すると再修復を行うのはきわめて困難になる.図2 築造体の脱落に付随して根管内う蝕が発生していることが多い.まず徹底的にう蝕を除去し,再修復が可能かを診断する必要がある.図3 既製金属ポストとファイバーポスト.形態は同じだが物性が異なるため,当然使用方法も異なる.176the Quintessence. Vol.35 No.8/2016—1902

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