ザ・クインテッセンス 2016年10月
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EBMとNBMから  下顎位安定のために必要な知識とその診断前編FEATURE特 集 1中村茂人The Three-dimensional Mandibular Position in Consideration of EBM and NBMShigeru Nakamuraキーワード:EBM,NBM,三次元的下顎位東京都開業 デンタルクリニック アレーズ銀座連絡先:〒104‐0061 東京都中央区銀座5‐5‐16 銀座テーラービルディング7Fはじめに 歯科における歴史のなかでは,先人達によって咬合高径を含めた三次元的な下顎位の決定方法について,多くの論争がなされてきた.たとえば,後方の決定要素である下顎頭のポジションの1つをとっても,多くの議論が見受けられる. 1920年代に米国のMcCollumとStallardによって創設された学派“gnathology”(ナソロジー)の初期では「下顎頭が下顎窩において最後方かつ最上方で,左右的にも中心にある位置」が中心位と考えられていた1.これは顎関節下顎頭の動きには遊びがなく,緊密な蝶番運動(ヒンジアキシスムーブメント)であるべきで,最後方(ターミナルヒンジアキシス)が最適であると判断されたためである.その後,1953年にSchuyler2によって自由度を与えるロングセントリックの考え方が取り入れられ,さらに1970年代に,beforeafter図A 下顎位を考慮して咬合再構成を行った数症例.さまざまな症状が緩和され,患者満足のもとメインテナンスに応じている.Movieスマホで動画が見られる!(使い方:P7参照)P7854the Quintessence. Vol.35 No.10/2016—2240

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