ザ・クインテッセンス 2016年10月
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歯科医院で保健指導を!体成分分析装置(InBody)の活用術1. 歯科医院は患者の健康を 守るキーステーションに 現在の超高齢社会において,歯科の役割は患者の口腔の健康と合わせて,全身の健康を守ることへシフトしつつある.とりわけ,この10年ほどで口腔と全身の健康を結びつける精度の高いエビデンスが数多く出現してきた1.あらゆる世代の患者が通所して,定期健診を受けることにより,生涯にわたり口腔の健康を守る歯科医院は,全身の健康に対して大きく貢献しうるといっても過言ではない. 一方で,歯科医師法第一章の第一条に「歯科医師は,歯科医療及び保健指導を掌ることによって,公衆衛生の向上及び増進に寄与し,もって国民の健康な生活を確保するものとする」とあり,われわれ歯科医師のミッションは歯科医療と保健指導の2本柱ということになる. 国民の健康において,最大の利益は「病気にならない」ことであるため,保健指導は国民の日々の生活習慣に働きかけるきわめて重要な行動である.定期健診を実施して,口腔の健康を管理することで全身の健康にも寄与しうるが,さらに保健指導によって,患者自らの行動変容をサポートすることで,国民の健康増進は,歯科医院から広がる.あらゆる世代が永く通所する歯科医院の特徴を考えると,その可能性は計り知れない(図1). しかしながら,現行の医療保険制度においては歯科医院での保健指導に割り当てられる点数が限られるので,保健指導に力を注ぐ歯科医院は多くない.そこで,現行の医療保険制度において,一見,ボランティアに近い保健指導を定期健診と結び付け,保健指導が定期健診を強化するツールとなれば,患者利益と合わせて,歯科医院の経営安定につながると考える(図2). 保健指導によって定期健診強化を図る歯科医院が増え,国民の健康増進が歯科医院から広がれば,歯科医院の社会的存在意義はますます大きくなると考える.今回は,歯科医院でも保健指導を積極的に行える1つの方法として,体成分分析装置「InBody」の活用を検証したい.呉 沢哲A Proposal for Health Guidance in Dental Clinic ——The Application of Body Composition Analyzer(InBody)Taekchul Ohキーワード:保健指導,InBody,定期健診大阪府開業 ツインデンタルクリニック連絡先:〒540‐6121大阪府大阪市中央区城見2‐1‐61ツイン21MIDタワー21階172the Quintessence. Vol.35 No.10/2016—2358

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