ザ・クインテッセンス 2016年11月
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知っておきたい臨床医学一般歯科医療に関連するがん・在宅・緩和医療を中心にFEATURE特 集 2米永一理Cancer and Home-palliative Meadicine Related to General DentistryKazumichi Yonenagaキーワード:臨床医学,がん医療,在宅医療,緩和医療東京大学医学部附属病院顎口腔外科・歯科矯正歯科/東京大学保健センター連絡先:〒113‐8655 東京都文京区本郷7‐3‐1 超高齢社会を迎え,歯科医療においても,基礎疾患を有し全身状態をしっかり把握しなければならない患者が増えてきている.とくに,国の方針もあってできるだけ住み慣れた地域での在宅医療が進められており,一般の開業医が幅広く高齢者医療に携わっているのと同様に,歯科においても一般開業歯科医による口腔管理が求められている1.そのためには,ある程度の基礎疾患の考え方を把握する必要があろう.また,多職種連携にかかわるためには,最低限の医学的知識を整理しておく必要がある2.1)男性の3人に2人が「がん」になる時代に 厚生労働省の人口動態統計の年間推計によると,本邦の2015年の出生者数は100万8千人で,死亡者数は130万2千人である.この死亡者のうち,3人さらには,読者の方も,ご自身やご家族などが基礎疾患を抱えられたときの考え方を知っておくことは,より健やかな生活のために必要である. そこで今回は,最近の医学の動向で,一般歯科医師の先生方に関係するであろうがん医療,在宅医療,緩和医療を中心に解説したい.なお,わかりやすく伝えるために,厳密にいうと正確さよりもわかりやすさを優先させた情報も一部含まれるかもしれないが,詳細は各領域の成書をご参照いただきたい.に1人ががんで亡くなっている(図1)3.一方で,がんと診断されている人は2014年で年間86万人おり,近いうちに約100万人に達する見込みである.これは日本人の2人に1人が生涯に一度はがんになるこはじめに1 がん医療の現状60the Quintessence. Vol.35 No.11/2016—2500

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