ザ・クインテッセンス 2016年12月
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PSBWLEpCTNTBWバイオロジーと歩む審美―歯周病専門医からの提言―FEATURE特 集 2はじめに いきなり突拍子もない話と思われるかもしれないが,明治時代にインプラント周囲炎は存在しなかった.もちろん,その理由は当時はインプラント治療が行われていなかったからである.当たり前のことのようであるが,ここがきわめて重要である.つまり,インプラント周囲炎は,われわれ歯科医師がインプラント治療という新しい治療法を臨床に導入した後に出現した新たな疾患だということである.このような疾患を「医原性疾患」と呼び,医師が望む望まざるにかかわらず,医療行為の結果,何らかの理由で患者の身体を害する可能性は古代ギリシャ時代より知られていたことである. 医原性疾患には,その発生と同時に判明することもあれば,長い年月を経た後に新しい知見が発見され,ようやくこれまでの医療行為が何らかの医原性疾患を引き起こす原因になっていたと判明することも稀ではない.インプラント周囲炎は,インプラントの普及とともに徐々にその問題が拡散してきたのではなく,ごく最近のトピックスであることは看過できない問題である. インプラント治療そのものは,半世紀以上にもおよぶ基礎的・臨床的研究を礎として飛躍的な発展を遂げている.臨床プロトコルの公表から約40年が経過し,インプラント治療の有効性と科学性を実証するエビデンスは枚挙に暇がない.これまで多くの患70the Quintessence. Vol.35 No.12/2016—2748

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