ザ・クインテッセンス 2017年1月
5/8

新連載Spark the interest!魅せる・聴かせるプレゼンのコツ安藤彰啓(Akihiro Ando)略歴2010年 昭和大学歯学部卒業2013年 University of Southern California, School of Dentistry. Orofa-cial Pain and Oral Medicine Residency Program 卒業現,あんどう歯科口腔外科<口腔顔面痛・口腔内科>院長小学校3年生までは日本語で教育を受け,その後はインターナショナルスクールへ編入.高校卒業まで英語で教育を受ける.歯科医師免許取得および,臨床研修を修了後は年間わずか2人しか採用されない難関,南カリフォルニア大学歯学部 Orofacial Pain and Oral Medicine Center のレジデントとして採用される.Diplomate, American Board of Orofacial Pain(米国口腔顔面痛学会,専門医)を取得後に日本へ帰国.現在は,臨床に携わる他,昭和大学歯学部の客員講師として臨床研修医や学生の指導にあたる.また,海外に向けて発信力・影響力のある医療従事者を育むことを目的に,Spark Medical を設立.はじめに はじめまして,Spark Medical Presentation Workshopを主宰しております安藤と申します.これから1年間にわたり,魅せる・聴かせるプレゼンテーションのコツをコラムとして綴ってまいりますので,どうぞよろしくお願いいたします. プレゼンテーションというと,スライドを使って大勢の前で発表をすることを思い浮かべるかもしれませんが,実はそれだけがプレゼンではありません.患者さんに治療方針を説明したり生活指導を行ったりする,院内ミーティングで発言をする,スタディグループでディスカッションを行うなど,『人に自分の意見を述べる』ことはすべてプレゼンテーションなのです.プレゼン技術を磨くことで,自分の考えや意見が人に伝わりやすくなり,自身のもつ影響力を高めることができます.これは,スタディグループや学会での発表や講演の時だけでなく,日常生活のもっと身近な部分にも効果が現れてきます.たとえば,患者さんへの説明・指導や,後輩やスタッフの教育など,さまざまなところに活かすことができます.ここで紹介するテクニックを,プレゼンの時だけではなく,日常生活にぜひ応用してみてください.必ず役に立つと思います.フィラーワードってなに? 会話のなかで無意識のうちに発する,「え~」,「あの~」,「その~」,「まぁ」などの『言葉自体には意味がない,ただの音』のことを,フィラーワードといいます.プレゼンの世界ではフィラーワードは『使ってはいけないもの』なのです! 聴きやすい,伝わりやすいスピーチにはテンポや抑揚があります.これを効果的に生み出すために重要なのが『間』のとり方です.声の強弱や,スピード,トーンの変化は,間があってこそ際立ちます.しかし,この『間』を埋めて抑揚を奪い,平坦なスピーチにしてしまうのがフィラーワードです(図1).メリハリがなく,平坦でつまらないスピーチは,例外なくフィラーワードであふれかえっています. フィラーワードの使用はいわゆるクセであり,しゃべっている本人は自覚していないことがほとんどです.緊張している時はフィラーワードの使用が増えますが,しかし,人前で話すのに慣れれば自然と使わなくなるわけでもありません. ある学会で,大学の教授や講師など講演慣れしている先生がたのフィラーワードの使用回数を調査したところ,1時間に平均500回くらい使用していました.これは1第1回フィラーワードを駆除しよう!93the Quintessence. Vol.36 No.1/2017—0093

元のページ 

page 5

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です