ザ・クインテッセンス 2017年1月
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北海道勤務 コンフォートデンタルクリニック連絡先:〒060‐0062 北海道札幌市中央区南2西3‐12‐2 トミイビルNo.37 3F松丸悠一Part1 : Complete Denture Treatment Viewed from Facial Ap-pearance——Tips for Evalution of Impression Taking and Bite TakingYuichi Matsumaruキーワード: 顔貌,印象採得,咬合採得第1回 顔貌から評価するとは?BasicforAdvance顔貌からみた総義歯治療──印象採得・咬合採得の評価のコツ本連載は奇数月に掲載連載にあたって 総義歯治療は患者のQoLの維持・向上を目標とし,歯の欠損などにより喪失してしまった形態ならびに機能障害の改善や回復をめざすリハビリテーションであり,このために必要なことの1つが適切な有歯顎の再現である. 現在,総義歯治療において数々のすぐれた術式や方法論を学ぶことができるが,一般的に印象採得と咬合採得は分けて行うことが多い.しかしながら,この2つの臨床操作は口腔内に装着される義歯のボリュームを決定するという点で相互に影響しており,私たちは最終的に印象採得と咬合採得を総合して評価しなければならない.また臨床で対象とする無歯顎患者にまったく同じ症例は1つとしてなく,毎回がその応用を求められる. これを達成するために術者に求められることは,顔貌への観察力と無歯顎と有歯顎のイメージの理解であり,経験豊富な臨床医の「術者の顔面観察による判断も重要である」1,「最終的な判断は顔貌で判断する」2という意見はその重要性を物語っている. これらはいずれも口唇周囲の皮膚表面を観察するものであり,顔面表情の緊張などによっても大きく変化し,また術者の主観的判断に依存する傾向があることから術者の経験や感覚が重要だとされているが,まず「どこを,どのような視点で観察していけばよいか?」を知ることができれば,たとえ初学者であってもさまざまな症例に対応可能な応用力が次第に身についてくるではないだろうか. そこで本連載では,総義歯治療を顔貌から評価することをテーマとし,顔貌を観察するポイントとそれに対して実際の印象採得,咬合採得がどのように影響してくるかを整理することで,術式に左右されない,失敗しない臨床へのちょっとしたコツを提案していきたい.連載目次第1回(1月号) 顔貌から評価するとは?第2回(3月号) 顔貌から印象採得を評価する第3回(5月号) 顔貌から咬合採得を評価する新隔月連載142the Quintessence. Vol.36 No.1/2017—0142

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