ザ・クインテッセンス 2017年2月
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CONTENTS1:インプラントを選択する前に歯の保存にベストをつくす(本号)①歯肉縁下深いう蝕のケース②一見,重度歯周疾患にみえるケースCONTENTS2:歯や歯列を守るためのインプラントの活用(次号)歯と歯列を守る 前編:インプラントを選択する前に歯の保存にベストをつくす欠損の拡大を防止する  最近のインプラントの普及はめざましいものがあり,当医院でも導入以来20年以上経つが(対合歯,隣在歯などに及ぼす影響は別にして),インプラント自体の失敗例をほとんど経験していないほど信頼性は高い.しかし,一方で,その影響もあってか,天然歯保全のための努力が以前に比べて薄れていく傾向がみられることは誠に残念である.このことは日常臨床においても,努力すれば長期に保存できると思われるケースが安易に抜歯と診断され,インプラントを勧められたとセカンドオピニオンを求める患者が急増している現実からも感じられる.また,経験の浅い臨床家に治療の見本を示さなければならないはずの内外の臨床誌上および講演会でも一部で強く感じられ,さらには雑誌等に掲載される講演会,講習会の案内もインプラント関連が圧倒的に多く,天然歯の保存療法をめざした内容は少ないのが現状であり,今後の歯科医療の動向はこのままでよいのだろうかと不安を覚える.天然歯の保存に最大限の努力を払い,それでもどうしても保存できない場合,あるいはすでに欠損が存在し,その対応に残存歯の大きな犠牲,負担を強いる場合,はじめてインプラントが検討されるべきである.はじめにFEATURE特 集 388the Quintessence. Vol.36 No.2/2017—0302

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