ザ・クインテッセンス 2017年2月
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インプラントために歯冠-歯根比 安易な抜歯が行われている背景に,支台歯の条件の基準を規定した歯冠-歯根比(crown-root ratio,CR ratio)の考え方がある.正常な歯槽骨の吸収がみられない場合の歯冠-歯根比は1:2で,診断の基準としては1:1よりも低い比率の場合には支台歯東京都開業 しもじ歯科クリニック連絡先:〒186‐0003 東京都国立市富士見台1‐10‐15‐202下地 勲The Implants for Saving Teeth—To Stop Expansion of Teeth Loss—Isao Shimojiキーワード:歯列,インプラント,欠損防止としては不適当であるとされる(図1).しかし,歯冠-歯根比が1:1以下となり,2:1まで悪化した歯根の短い状態でさえ,適切な歯冠修復処置を行えば,長期に機能するケースは多い.歯槽骨頂1:21:12:1図1 歯冠-歯根比とは通常,臨床的な歯冠長と歯根長の比率のことを指す.すなわち,歯槽骨頂から歯冠方向を臨床的な歯冠長,根尖方向を歯根長として比較する場合が多い.正常な歯槽骨の吸収がみられない場合の歯冠-歯根比は1:2で,診断の基準としては1:1よりも低い比率の場合には支台歯としては不適当であるとされる(文献1より改変引用).1従来の抜歯基準89the Quintessence. Vol.36 No.2/2017—0303

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