ザ・クインテッセンス 2017年3月
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どう付き合う?義歯安定剤どう付き合う?義歯安定剤 現在,じつに多くの製品が市販されている「義歯安定剤」.先生がたはどうお考えだろうか? 多くの先生がたは義歯安定剤の使用に関しては否定的で,術者の治療技術の未熟さゆえに患者が本剤を使用するとの見解だと思う.実際,大学で義歯安定剤に関する教育は受けておられないだろうし,現在でも本剤に関する教育は十分に行われていないのが実情である.しかしながら,現実には使用中の義歯になんらかの不都合を感じ,多くの義歯装着者が本剤を使用している.8020運動の効果により義歯装着者の割合は減っていると思われるが,近年のデータを見てもいまだ多くの高齢者が義歯を装着しており(図1),さらに高齢者の増加により義歯の総数自体が増加する可能性も否定できない.また以前の状態に比べ,Hiroshi Murata, Mao Yamada, Hitomi OkazakiDenture Stabilizers—How to Apply—キーワード:義歯安定剤,患者指導,クリームタイプ,粉末タイプ村田比呂司/山田真緒/岡﨑ひとみ長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯科補綴学分野連絡先:〒852-8588 長崎県長崎市坂本1‐7‐1はじめに義歯の装着にとって条件のよくない口腔環境(たとえば高度に骨吸収し,粘膜が菲薄な顎堤や口腔乾燥など)をもつ高齢者が増えているように感じる.そのため義歯安定剤の市場はますます拡大することが推察される. 近年,この義歯安定剤に対する考え方に変化が生じ,適切な症例に正しく使用すれば,義歯管理や補綴歯科治療に有効であるとの報告が多数なされるようになった.また,日本補綴歯科学会からも本剤に対する見解が出されている.結論から述べると,まず歯科医師が義歯安定剤を正しく理解し,本剤の効果を最大限発揮させ有効活用することが,これから求められる義歯安定剤との付き合い方だと思う.FEATURE特 集 142the Quintessence. Vol.36 No.3/2017—0482

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