ザ・クインテッセンス 2017年4月
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もう慌てない!幼児期の口腔外傷もう慌てない!幼児期の口腔外傷FEATURE特 集 2Yasutaka YawakaLet's Approach to Oral Injury in Primary Dentition!キーワード:乳歯列,口腔外傷,脱臼,破折八若保孝北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座小児・障害者歯科学教室連絡先:〒060‐8586 北海道札幌市北区北13条西7丁目はじめに 幼児期の口腔の外傷,とくに歯の外傷は,乳歯の寿命にかかわるだけでなく,その後継永久歯への影響も留意する必要があります.また,幼児期の口腔外傷は,咀嚼,発音などの機能的要素および審美などの精神的要素を含めた歯列咬合の成長発育に大きな影響を及ぼします.幼児期の口腔外傷は顔面頭部の外傷の一部分の場合が多く,脳にも影響を及ぼすことがあることを留意しておきましょう. う蝕の減少と軽症化が進んできている現在においても,事故である外傷は減少しません.外傷への対応は速やかかつ適切であるべきであり,それにより良好な予後が獲得できます.しかし幼児は,その成長発育過程において,また外傷受傷による精神的な動揺などにより,外傷の状態を詳細にそして適切に表現することが困難です.このような状況下で,いかにその状態を正確に把握できるかが重要です.また,本人ならびに保護者の精神的影響を十分考慮して対応するべきで,予後を含めた説明などについても,落ち着いた段階でわかりやすく説明し,理解していただくことが大切になります. 上記のことを踏まえて,日本外傷歯学会が作成した歯の外傷治療ガイドライン1をベースに,症例を提示しながら幼児期の外傷について概説します.皆さんの日常臨床に役立つことを,そして不運にも受傷された幼児において,より良い予後が獲得できることを期待します.68the Quintessence. Vol.36 No.4/2017—0738

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