ザ・クインテッセンス　2017年4月

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＊1東京都開業　プレミアムデンタルケア恵比寿・代官山＊2東京都開業　ニノデンタルオフィス代表連絡先：＊1〒150‐0021 東京都渋谷区恵比寿西1‐22‐5‐1F高井基普＊1／二宮佑介＊2Provisional Restoration Made EasyPart 2. Upper Anteriors: The Fundamentals and TheoriesMotohiro Takai, Yusuke Ninomiyaキーワード： プロビジョナルレストレーション，上顎前歯部，Bio-Emulation，審美基準第2回　上顎前歯部の製作法①：理論編BasicforAdvanceコツを覚えて正確，迅速につくる！プロビジョナルレストレーション製作マニュアル本連載は偶数月に掲載はじめに　前回は，臨床でもっとも治療機会の多い大臼歯単冠のプロビジョナルレストレーション製作に必要な器材および製作の基本を解説した．今回は，その上顎前歯部に焦点を当て，まず理論編として，その基準を解説していく．　さて，上顎前歯部は，審美修復はもちろん，総義歯や矯正治療も含めた咬合再構成など，多くの治療の起始点であり最終目標であるため，治療指針を左右する重要な要件が数多く存在し，一定の基準に基づいて考えていく必要がある．問題提起　図1は，ある女性患者の術前の口腔内写真およびデンタルエックス線写真である．彼女が長い期間，笑顔を失っていることは容易に想像がつく．歯周炎の悪化により歯間乳頭を失い，口を開けることすらためらっていた．そして残念なことは，その原因が人為的につくられた補綴装置であったことだ．本症例に山積する諸問題をどのように解決したらよいのだろうか．　臨床における問題や課題を解決していく治療工程において，プロビジョナルレストレーションはとてつもなく大きな役割を担う．その治療工程のなかで重要なことは，術者が明確な基準をもち，そして科学に基づくブラッシュアップされたテクニックを駆使することである．　まずは，上顎左右中切歯間の正中の左右的位置と中心軸を決定する．口腔内でわずかな修正を加える場合にはウルトラシンディスク（キーストーン，サンデンタル）を使用し，隣接面部移行形態と切縁部鼓形空隙をコントロールしながら決定する（図2）．　続いて，中切歯切縁と歯冠外形を整えていく（図3）が，三次元的にどのように上顎中切歯を位置付けるかは，顔貌や口唇を含めた総合的な判断が必要とされる1，2．その詳細については，誌面の関係上，今回は割愛する．180the Quintessence. Vol.36 No.4/2017—0850