ザ・クインテッセンス 2017年5月
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北海道勤務 コンフォート入れ歯クリニック連絡先:〒060‐0062 北海道札幌市中央区南2西3‐12‐2 トミイビルNo.37 3F松丸悠一Part3 : Complete Denture Treatment Viewed from Facial Ap-pearance——Tips for Evalution of Impression Taking and Bite TakingYuichi Matsumaruキーワード: 顔貌,印象採得,咬合採得第3回(最終回) 顔貌から咬合採得(咬合高径)を評価するBasicforAdvance顔貌からみた総義歯治療──印象採得・咬合採得の評価のコツ本連載は奇数月に掲載はじめに 第2回では,リップサポートが総義歯臨床において重要であること,その設定は印象採得時の唇側床縁形態が起点となることに注目し,その床縁形態を顔貌観察により評価する方法について,またその有効性について解説させていただいた.今回は,顔貌への影響が大きく,臨床的にも重要となる咬合高径設定について注目し,失敗しない咬合採得のヒントになるようなポイントを考えてみたい.顔貌による咬合高径の評価 総義歯治療における咬合採得では,まず垂直的顎間関係すなわち咬合高径を決定し,その後に水平的顎間関係を決定する手順にて三次元的顎間関係を採得する1.また咬合高径の決定に先立ってリップサポートの評価が重要であり,リップサポートと咬合高径は影響し合う関係にあること2を忘れてはならない.まずは適切なリップサポートの評価を行ってから咬合高径の評価を行うこと,また咬合高径を設定後に再度リップサポートとのバランスを確認することが,臨床操作を行ううえで大切である(本連載第2回:3月号参照). では,適切なリップサポートが確認できたという条件下にて,顔貌による咬合高径の評価を考えてみたい.顔貌から咬合高径の決定に活用できる情報として,顔面計測による方法と顔貌の特徴が挙げられる(表1).顔貌計測による方法は,有歯顎者における咬合高径と顔面に設定した2つの基準点間の距離との関係を利用して,咬合高径決定の一助とする方法である1.本連載のテーマより,この方法をイメージされた読者も少なくないだろう.筆者はこの顔貌計測による方法,なかでもウィルス法3を臨床において咬合高径決定の確認の1つとして用いている表1 咬合高径設定に活用される,形態的根拠に基づいた患者の情報(文献1より引用).①上顎中切歯の口裂からの露出度②使用中の義歯の咬合高径③頭部エックス線規格写真④顔面計測⑤顔貌の特徴⑥顎堤の対向関係186the Quintessence. Vol.36 No.5/2017—1090

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