ザ・クインテッセンス 2017年6月
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はじめに 筆者は,米国・カリフォルニア州で補綴専門医として開業するかたわら,南カリフォルニア大学およびワシントン州立大学で教育・研究に携わる歯科医師である.そのためか,普段から補綴臨床にかかわる質問を受けることが多い.以下に,電子メールで筆者に寄せられた質問とその答えを紹介したい.  根管治療後の歯の予後の良否は,その後に行う補綴修復治療の精度にかかっている.支台築造はその起始点であり,もっとも重要な補綴治療工程だともいえる.また,補綴領域においてもっとも多くの研究が行われた分野の1つでもあり,臨床にかかわる多くの文献,意見が今も積み重ねられている.しかし,それらの情報を実際の臨床で活用するには,文献や研究を正確に検証できる“技術”が必要である.これによりはじめてその治療コンセプトが理解でき,材料選択や術式を正しく行うことができる. 本稿では,“最良の支台築造とは?”をテーマに,筆者自身の研究を含めた過去および最新の文献を踏まえながら,その目的や材料・術式の選択などを解説し,現時点の答を探ってみたい.質問者筆 者件名:Re:**に関して私の歯科医院では,いくつかのポスト材料を症例によって使い分けていますが,1つだけ使用しない材料があります.その材料はファイバーポストです.件名:**に関してあなたの臨床では,支台築造の材料として,種々のポスト材料のどれを使っていますか?件名:Re:Re:**に関してなぜですか?私はほとんどの症例でファイバーポストを使っているのですが……???図A 支台歯築造を行った結果,10年後,歯,歯周組織,補綴装置が健全に保たれた.49the Quintessence. Vol.36 No.6/2017—1195

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