ザ・クインテッセンス 2017年6月
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エビデンスと時間軸を踏まえた新時代のエンド・ペリオ  エンド・ペリオ病変は,われわれ臨床家にとって,対応に苦慮する問題である.筆者は,かつて大学を卒業したばかりのころには,つぎのように患者に説明していた.「根管内の感染と歯周組織の感染が交通していて,片方の感染を治療しても,もう片方から菌が侵入するので,とても治りにくいのです.ですから,時間をかけて治療しても確実ではないので,抜歯をお勧めします」.しかし,今はこう説明する.「すぐに治療を始めましょう.まずは,根管内の感染から取り除きます.治療によってどのような治り方をみせるかはさまざまですが,よい反応がみられた場合には,歯周組織再生療法という手術で抜歯せRyo IshikawaEvidence-Based Clinical Diagnostic Criteria of Endo-Perio Lesion Considering the Dynamics of Lesion Development and Healingキーワード:エビデンス,時間軸,エンド・ペリオ病変,臨床基準石川 亮兵庫県開業 石川齒科醫院連絡先:〒661‐0033 兵庫県尼崎市南武庫之荘1‐12‐20 モダリエ2Fはじめにずに済む可能性があります」.なぜ,このように変化したのかについて,本稿では,時間軸というテーマに沿って詳しく述べるつもりである. 当然のことながら,患者にとって,自分の歯を失うか,残せるかは大きな違いがある.患者はどちらを望むであろうか? 患者は医師のアドバイスを信じ,抜歯に同意し,インプラントを受け入れることはあっても,自ら進んで自分の歯をインプラントに取り替えてほしいなどと望むわけはないだろう.条件の悪い歯を残すことについて,予後が不安だろうか? これには患者のライフステージというもう1つの時間軸が存在していて影響を与えていると考えFEATURE特 集 266the Quintessence. Vol.36 No.6/2017—1212

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