ザ・クインテッセンス 2017年6月
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顎顔面領域の前方成長  垂直的なコントロールが  成長発育期におけるバイオブロック療法への誘い特別企画Kazuhiko SuetakeInvitation to Biobloc Therapy during Growth and Developmentキーワード:バイオブロック,前方成長,垂直的コントロール,オーラルポスチャー,回転とひずみ末竹和彦長崎県開業  (医)末竹歯科医院連絡先:〒859-4501 長崎県松浦市志佐町浦免1344はじめに 現在,矯正治療が一般的歯科治療の1つの選択肢として定着しており,矯正歯科単科開業医だけではなく,一般歯科開業医においても矯正治療がなされている.成長発育期に来院した子どもたちの歯列に問題があって,かかりつけ歯科医としての役割を果たそうとすれば,おのずと乳歯列期や混合歯列期にその治療を開始することになるが,多くは歯列拡大をともなう咬合誘導がなされているようである. [少数歯の咬合誘導]→[床拡大装置を用いた治療]→[マルチブラケット治療]→[Bionator,Bimler,MUHをはじめとする各種機能矯正装置を用いた治療]と治療の引き出しを増やしていき,症状に応じた使い分けをおぼえていた筆者であるが(図1),ご多聞に漏れず動的治療終了後の後戻りとの戦いで,保定なしに長期の安定を見る症例は僅少であった.そのような時期に出会ったのがバイオブロック療法である.当時,薄暗いなかに輝く光を見た思いだったことを覚えている. 今回,他の矯正治療や咬合誘導とは明らかに一線を画するバイオブロック療法について,症例を供覧しながら解説を加えてみたい.1.バイオブロック療法とは バイオブロックによる治療は,数ある矯正学派のなかでもきわめてマイナーな部類に属するため,その詳細については知らない人がほとんどではないだろうか.しかし,Dr. John Mewの伝えようとしている事柄には不正咬合の本質をついている有意義な情報が非常に多く,成長発育期の矯正治療に携わる者であるならば,すべからく彼のフィロソフィーに触れたほうがよいと常日頃考えている.  基本的なバイオブロック装置は,装置名であるのに,「ステージ」という言葉を用い,その使用時期と92the Quintessence. Vol.36 No.6/2017—1238

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