ザ・クインテッセンス 2017年6月
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を促し, 可能な治療とは形態によってステージ1〜ステージ4(図2)に分類される.そのうちの1つ,上顎ステージ1(図3)は,エクスパンジョンスクリュー(拡大ネジ)を組み込んだ,いわゆる歯列拡大床の一種であるので,一般的なSchwarzの拡大床を用いた矯正治療と同類として考えられやすい.しかし,実際はコンセプトが大きく異なるので,最初からまったく違ったものとして捉えなければならない. バイオブロック療法は,顎顔面の水平的な成長を促すことを主眼に据えた治療法である.二次元で歯列を考え,上記2つの治療法について簡潔に比較表現すれば,「一般的な拡大床治療は,歯列弓を拡大して歯を整列させることを目標としたものであり,それに付随して上顎骨の前方成長がなされる場合もある」という考え方である.それに対して,「バイオブロック療法は,顎顔面部の前方成長を誘導することが主目的であり,その結果として歯も整列してくる」という逆のコンセプトに基づく矯正治療といえるのである. 側方拡大を行うことから,やっていることは同じであるように思えるのだが,そこが落とし穴となる.じつはこの発想の違いが術者の治療計画・手法の選択を誤らせ,治療結果をも左右してしまうと認識しなければならない.バイオブロック治療機能矯正治療フルブラケット治療簡単な床矯正治療少数歯の咬合誘導■バイオブロック療法に出会うまで図1 治療の引き出しを増やしていた頃の歩み.バイオブロック療法の創始者Dr. John Mew.93the Quintessence. Vol.36 No.6/2017—1239

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