ザ・クインテッセンス 2017年8月号
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開業歯科医が行う睡眠時無呼吸治療地域医療を進めるために睡眠時無呼吸症候群の治療に取り組む意義1眠領域のなかでも,今や歯科はなくてはならない存在になっており,治療ニーズは増え続けています.しかしながら,睡眠臨床に携わる歯科医師はごく一部に過ぎず,歯科として睡眠医療を底上げできていないという現実があります.医科と連携して立ち向かっていかなければならない疾患にもかかわらず,医科と会話できる歯科医師が少ないことも問題となっています. 開業歯科医が地域医療のなかで真の役割を果たすためには何をすればよいのか,そのヒントを本説のなかで見つけていただければ幸いです.確率は,健常者の約7倍,全ドライバーの約3倍と報告されていています1.交通事故に限らず社会生活を営むなかでエラーや事故を起こし,年間の経済損失は3.5兆円ともいわれており,社会的な問題となっています(図1).もう1つは,繰り返す無呼吸により心臓に負担をかけ交感神経の緊張状態が続き,特 集 2 睡眠時無呼吸臨床における連携医療のなかで,単にマウスピースを作る“モノつくり屋”になってはいないでしょうか? 歯科は,マウスピース(Oral Appliance;OA)作製のみならず,口腔顎顔面領域の専門家として睡眠呼吸病態のメカニズムを知り,閉塞の要因はどこにあるのか,OA治療効果はどう予測されるのか,OA治療の限界はどうなっているのかなどを診断する役割が求められています. OA治療は,2004年から保険医療にも導入され,睡眠臨床の一端を歯科が担うことになりました.睡 睡眠時無呼吸に日中眠気など何らかの症状がともなう場合,「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Aprea Syndrome;SAS)」と呼ばれます.SASが抱える大きな問題は2つあります.1つは,睡眠の質の低下により日中のパフォーマンスを下げる可能性があることです.たとえば,SAS患者が交通事故を起こすはじめに62the Quintessence. Vol.36 No.8/2017—1680

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