ザ・クインテッセンス 2017年9月号
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多発傾向にある高齢者の根面う蝕は回避できるのか?超高齢社会を見据えた根面う蝕と知覚過敏 66the Quintessence. Vol.36 No.9/2017—1914吉山昌宏Treatment of Root Caries and Hypersensitivity for Super-Aging SocietyMasahiro Yoshiyamaキーワード:高齢者の根面う蝕,知覚過敏岡山大学大学院医歯薬学総合研究科歯科保存修復学分野連絡先:〒700‐8525 岡山県岡山市北区鹿田町2‐5‐1はじめに 超高齢社会に突入した現在,8020達成も現実的になりつつあり,歯の欠損の第一要因としての歯周病に対する予防・治療に臨床家は奔走してきた.ところが近年,高齢者の根面う蝕の多発傾向とそれにともなう知覚過敏が問題視されてきており,2014年4月の診療報酬改定では「自立度が低下した在宅等で療養を行っている者の初期根面う蝕に対するフッ化物歯面塗布」が評価された.すなわち,自立度が低下した有病高齢者では,口腔ケアもままならない状況にあることを示唆していると思われる.また,健常な高齢者であっても,根面う蝕,さらには知覚過敏に対する認識の欠如も背景には存在していると思われる. そのようななか,在宅訪問診療の現場,臨床の現場として,実際の根面う蝕の治療,さらには知覚過特 集 2

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