ザ・クインテッセンス 2017年10月号
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 そこで,歯科医師やパラデンタルスタッフこそ患者の潜在しているOSASに気づき,検査や治療を勧めることができるのではないかと筆者は考える. ところで,「現在,患者本人に治療したいという自覚症状がないのに,あえて検査や治療を勧める必要があるのだろうか?」と思われるかもしれない.しかし,患者本人に自覚がないからこそ必要4444444444444444なのである.なぜなら,それは「OSASはいたってコモンな疾患であり,治療可能で,予後を改善でき,患者さんの人生をも変える可能性がある疾患」だからである3.「ご大層な!」と思われるかもしれないが,以下を読み進めると理解できるのではないかと確信している. 歯科治療中に寝てしまう患者や,下顎が小さい傾向の患者の問診票を見ると「イビキをかくと言われたことがありますか?」という質問に「言われたことがある」という回答は案外多い.それに対し「睡眠時無呼吸症は知っていますか?」という質問には「日中眠くなるのは知っているけど……」と曖昧な回答が目立つ. 閉塞性睡眠時無呼吸の無呼吸状態は93%がイビキの最中に起きているという1.OSASの有病者は,日本では200万人1とも500万人2とも推定されているが,問題は85%が未診断ということで1,自分のイビキの状態に自覚がない(本人は寝ていて認識できない)ことがその一因であるようだ.を考察する歯科医療従事者こそOSASに気づき対応できる!57the Quintessence. Vol.36 No.10/2017—2127

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