ザ・クインテッセンス 2017年10月号
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歯内療法10分間テスト臨床力アップ!診断力新連載力歯内療法10分間テスト臨床力アップ!診断連載第10回左下奥歯の歯茎が腫れた主訴:左下奥歯の歯茎が腫れた.患歯:下顎左側第一大臼歯.現病歴:7か月前に補綴装置が脱離し,他院で再根管治療と補綴治療を行った.症状なく経過していた 陶材焼付冠が装着されており,頬側歯肉に発赤と腫脹を認めた.歯周ポケットは頬側分岐部で8mm,それ以外は3mm以内であった.打診痛はあったが,自発痛はなかった.が,2か月前に歯肉腫脹と疼痛が出現.数回,排膿処置と咬合調整,抗生剤の投薬を受けたが腫脹と違和感は消失しなかった.主治医からは歯周病と噛み合わせが原因だと言われたが納得できず,当院受診.概要 現症 図1 下顎左側第一大臼歯のデンタルエックス線写真.図2 下顎左側第一大臼歯のコーンビームCT像.デンタルエックス線写真:分岐部と近心根根尖部に透過像,根尖周囲に骨硬化像を認めた.近心根の根管充填上部が分岐部側の根表面に近接しており(矢印),根管充填先端部は近心側に偏っていた(図1).CBCT:近心根の頬舌2根管とも,分岐部側歯質が菲薄化していた.分岐部と近心根根尖部に骨吸収像を認めた.近心根の根管充填が本来の根管から逸脱し,根尖部に未処置根管が認められた.遠心根に骨吸収像は認めなかった(図2).各種画像検査 *1宮城県開業 医療法人くすのき 南光台歯科医院*2東京都開業 吉岡デンタルオフィス代表連絡先:*1〒981‐8003 宮城県仙台市泉区南光台2‐15‐24須藤 享*1/監修:吉岡隆知*2以下の症例に対する,診断(歯髄腔,根尖部,その他)および治療方針は?*診断名,治療名(治療方針)の候補については,2017年1月号を参照.図1図2答は次頁に......本連載は毎月,歯内療法の1症例の口腔内写真,デンタルエックス線写真,CBCT画像などの資料を提示し,歯内療法における診断名および治療名を考えてもらう欄である(吉岡).SPEAKER’S ARTICLE第8回 日本国際歯科大会2018Fホール10/6(SAT)午後115the Quintessence. Vol.36 No.10/2017—2185

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