ザ・クインテッセンス 2017年12月号
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1本の歯の保存にこだわるどの程度の損傷,状態の歯まで残すことが可能なのか?歯根破折の行方─破折歯の抜歯基準二階堂 徹/菅谷 勉1支台築造の観点から渥美克幸2歯周治療の最後の一手─再生療法,切除療法,MTM,捻転再植3水上哲也─特 集 1 抜歯の原因には,歯周病の重篤化,破折,矯正スペース確保のための抜去,さらにはインプラント埋入のための戦略的抜去など,実にさまざまなものが考えられ,その是非はつねに問題とされてきた.ところが,昨今のMinimal Interventionの考え方の浸透や抜歯基準の見直し,治療技術・材料の進歩もあって,歯の保存にこだわる臨床像が多く見受けられるようになった. まずその一手として挙げられるのが,本邦がリードする接着技術の隆盛によって,4-META(スーパーボンド)を用いた破折歯の接着修復である.そして2つ目の一手としてファイバーポストを用いた支台築造・歯冠修復が挙げられる.2016年度の保険診療への収載もあって,今,注目度が高い手技の1つといえる.また3つ目の一手として,GPでも施術が可能なMTMの技法と再生療法などの組み合わせで,要抜去歯を救うことができるという報告があり,実際に多くの臨床家がそれらの技法を取り入れている. しかしながら,これらの手技は診査・診断の難しさや,テクニックセンシティブなこともあって,どの程度の損傷,状態の歯まで残すことが可能なのか,そのメルクマールは曖昧なままである.本特集ではそこをできる限り明らかにしたいと考えている.(編集部)

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