ザ・クインテッセンス 2018年1月号
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新・症例PLAYBACK  症例の術後経過から学ぶ741989年4月5月1990年5月1991年1992年7月1993年1994年1995年1996年1997年1998年1999年2000年2001年2002年7月2003年8月2004年4月2005年2006年2007年初診時.患者:49歳,女性.主訴:前歯をきれにしたい.咬合崩壊をともなう重度歯周炎.初期治療,矯正治療,全顎的外科処置を行う.6遠心根を抜歯しブリッジ.約1年の経過後,ブラックスペースをうめるほどの歯間乳頭の成熟はなく,ハーフポンティックが可能か検討.上下顎最終補綴物装着.その後,半年に1度のメインテナンスを行う.最終補綴物装着後10年.6近心根破折.埋伏智歯が影響した膿瘍(アブセス)による骨吸収のため,7を抜歯し,6にインプラント埋入.初診から15年.良好に経過.現在に至る.the Quintessence. Vol.26 No.6/2007̶ 1132 p074_084_TQ06_playback.indd 7407.5.16 2:48:39 PM新・症例PLAYBACK症例の術後経過から学ぶ75新・症例PLAYBACK症例の術後経過から学ぶはじめに 1990年代に入るころ,患者の審美的な要求はこれまでになく高まった.当時,ブラックトライアングルに対してハーフポンティックの有効性が文献的にある程度認められ,そのテクニックを試行錯誤しながらいくつかのケースを欠損補綴してきた. 本稿では,1999年に本誌に掲載した「前歯部の審美治療を再考する──ハーフ・ポンティックの臨床応用」のなかで提示した症例の術後経過を報告するとともに,ハーフポンティック(主にブラックトライアングルなどを補綴物によって埋めるために,隣接面に対してカントゥア(豊隆部)を強調させること)の応用についての考え方を述べることとする.1.治療終了時までの概要初診:1989年4月年齢:初診時49歳(現在67歳)主訴:前歯をきれいにしたい.所見:全顎的な骨吸収を認める.咬合崩壊をともなう重度の歯周疾患である(図1a~d).審美修復の前に,炎症抑制と咬合の安定を優先すべく矯正処置と全顎的外科処置を行い,ハーフポンティックにて審美修復をはかることとした. 初期治療後に矯正治療を行い,続いてフラップを開け,全顎的に外科処置を行った(図2~4).遠心には垂直性骨吸収がみられたため,遠心根を抜根し(図5),⑥6⑦のブリッジとした.前歯部にハーフポンティックを用いた審美修復治療の15年経過東京都開業 土屋歯科クリニック& WORKS連絡先:〒102‐0093 東京都千代田平河町 1‐4‐12 相互平河町ビル1F土屋賢司15 Years Case Report──Halfpontic Restoration for Anterior ToothKenji Tsuchiya初掲載誌「前歯部の審美治療を再考する:ハーフ・ポンティックの臨床応用」 the Quintessence 1999年7月号.PLAYBACK THE CASESthe Quintessence. Vol.26 No.6/2007̶1133 p074_084_TQ06_playback.indd 7507.5.16 2:48:45 PM症例PLAYBACK術後経過から学ぶ-その再評価と考察および現在の考え方審美修復術後25年経過症例から見えてきたこと東京都開業 土屋歯科クリニック&works連絡先:〒102‐0093 東京都千代田区平河町1‐4‐12 三信平河町ビル1F土屋賢司Playback the Cases:Learn from A Case of 25years after Esthetic TreatmentKenji Tsuchiyaキーワード:ハーフポンティック,デュアルバイト,審美修復FEATURE特 集 4対象症例は2007年6月号に掲載された「新・症例PLAYBACK――前歯部にハーフポンティックを用いた審美修復治療の15年経過」の症例.2007年6月号からPLAYBACKSPEAKER’S ARTICLE第8回 日本国際歯科大会2018Cホール10/7(SUN)午後126the Quintessence. Vol.37 No.1/2018—0126

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