ザ・クインテッセンス 2018年1月号
6/8

はじめに 本誌1999年7月号にて掲載した「前歯部の審美治療を再考する──ハーフ・ポンティックの臨床応用」のなかで提示した症例について,その術後15年の経過報告と考察を行い,「前歯部にハーフポンティックを用いた審美修復治療の15年経過」と題して掲載したのが本誌2007年6月号のことで,かれこれ10年以上も前になる. 症例の患者は来院が一時途絶えたものの,約10年ぶりに筆者の医院に再来院してくれた.時の流れの速さに改めて感じ入りつつも,こうしてまた戻ってきてくれたからこそ,治療のその後について読者諸氏に報告できることを考えると,当たり前だが患者あっての歯科医療なのだと感じる. 一方で,患者をメインテナンスできなかったことから,口腔内にもいくつか問題を認めた.しかし,興味深いのは,初診時にフレアアウトしていてハーフポンティックにて補綴治療を行った上顎前歯には,後戻りなどがみられなかったことだ. そこで本稿では,現在術後25年を迎えた本症例について,なぜ上顎前歯部の補綴は問題なかったのか,参考症例も提示しながら筆者なりの考察を加えてみたい.初診時から現在までの治療経過初診時(1989年)術後12年(2004年)治療終了時(1992年)術後25年(2017年)127the Quintessence. Vol.37 No.1/2018—0127

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る