ザ・クインテッセンス 2018年1月号
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第1回 根管形態研究の歴史と根管形態の特徴臨床に生かす根管解剖学CBCTと歯科用顕微鏡を駆使した“歯内療法新時代”の新連載(全12回)181the Quintessence. Vol.37 No.1/2018—0181吉岡隆知東京都開業 吉岡デンタルオフィス連絡先:〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-3-13-1F連載にあたって 根管形態の複雑さは歯科医師を悩ませる.網目状の根管形態写真を見ると「複雑すぎてお手上げです」と白旗を掲げるのが常である.少ない代表例ですべての根管が複雑であるかのような錯覚に陥る.プレゼンテーションでは,単純な形態の根管よりも網状根管を見せたほうがインパクトは強く,印象に残る.しかし,実際は単純な根管形態がほとんどで,複雑な根管形態は稀とは言わないがむしろめずらしい. 図1は下顎第一小臼歯の髄腔開拡とその透明標本の一例である.頬舌的に長い円形となっており,2根管で,根尖部は網状根管である.こういう形はきわめてめずらしい. 一方,図2の根管は単純な形態である.髄腔開拡をして根管口を見ても,根管形態を推測する手がか図1a,b 下顎第一小臼歯の髄腔開拡の一例(a)とその透明標本(b).根管にはインディアンインクを注入して観察しやすくしている.根管の分岐と多数の管間側枝により網状根管となっている.図2a,b 下顎第一小臼歯の髄腔開拡の一例(a)とその透明標本(b).本例の根管は側枝も湾曲もなく,太い根管が1本根尖まで通っているだけである.複雑な根管形態と単純な根管形態SPEAKER’S ARTICLE第8回 日本国際歯科大会2018Fホール10/6(SAT)午後abab

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