新聞クイント2016年4月(お試し版)
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2016年4月10日(日) 第244号2日歯新執行部、船出へ…… 絵 山香和信 今月のニュース社 会 今月のニュース政 治歯科界初のヘルシー・ソサエティ賞を受賞した宮田 隆(特非)歯科医学教育国際支援機構理事長国際医療貢献活動を通して途上国の医療人の育成に寄与したい より健全な社会づくりを目指し、献身的にすばらしい活動を行っている方を顕彰する目的で、平成16年に創設されたヘルシー・ソサエティ賞。このたび、第12回ヘルシー・ソサエティ賞(ボランティア部門)を宮田 隆氏(〔特非〕歯科医学教育国際支援機構理事長)が受賞した。本欄では、宮田氏の長年にわたる活動を振り返っていただくとともに、どのような点が今回の受賞につながったのか、お話しをうかがった。宮田:まずはこのような栄誉ある賞を受賞できましたことに関して関係各位に感謝申し上げます。1991年、私にとって大きな転機は内戦終結直後のカンボジアを訪れた時でした。内戦によってほとんどの人材を失い荒廃したヘルス・サイエンス大学の実情を見て支援を決意しました。その復興のために休暇を返上し、約2ヵ月に一度のペースでカンボジアを私費で訪れ、同大学の教員や学生の教育に力を注ぎました。その後、本格的に国際医療貢献・教育支援に取り組むため、2002年に(特非)歯科医学教育国際支援機構を設立し、カンボジア、ラオス、メキシコ、東ティモールなどを訪れ、医療貢献と教育支援活動に従事しました。 私の活動は医療ボランティアの枠に留まらず、発展途上の各国において歯科医療の分野が保健衛生上、たいへん重要な役割を担っていることを証明し、計画的に各地の医療環境の改善に努めることにありました。そのため、カンボジアでは各地で2,000名にも及ぶ住民の歯科検診と心疾患をスクリーニングし、歯周病の進行度が心疾患や酸化ストレスの発症に強く関与していることを立証しました。その結果から導き出した歯周病予防プログラムはカンボジアで採用され、現在でもカンボジア住民の健康管理に寄与しています。 私は人材育成が何より重要と考え、ヘルス・サイエンス大学で教鞭を執り、2005年にはカンボジアで初となる政府認定の歯周病専門医20数名を育成しました。おかげさまで現在では、私の教え子たちがその事業を継承しています。また、東ティモールでは独立時の内戦で霧散した歯科看護師に対してみやた・たかし1977年、日本大学歯学部卒業。1996年、明海大学歯学部教授(歯周病学講座)。1998年、明海大学病院病院長。2002年、明海大学退職後、(特非)歯科医学教育国際支援機構を設立。以降、国際医療貢献活動に従事。2016年3月、ヘルス・ソサイエティ賞を受賞。再教育を行い、その後各地のヘルスセンターに職場復帰させた活動が政府からも大きく評価されました。さらに、それまでデンタルナース(歯科看護師)制度がなかったラオスでは、看護師に歯科医療の技術を指導して成功を収めることができ、現在もラオス保健省が認定する歯周病マスターコースを指導しています。 20年以上にわたる医療貢献活動と教育支援活動は、関係者の多大なるご協力なくしては継続できませんでした。その意志を受け継ぐ後継者が各国で活動を継続できるように、人材を育成したことが今回評価された理由ではないかと思っています。 今回の受賞をさらなる励みとして、引き続き活動してまいりたいと思っています。上程された議案に賛成する代議員ら。講演後に行われたディスカッションの様子。 3月12日(土)、東京医科歯科大学(東京都)において、シンポジウム「大規模災害時の避難所などにおける食糧支援のあり方について~情報の共有化と評価~」(日本災害時公衆衛生歯科研究会主催)が開催され、約100名が参集し盛会となった。 座長の中久木康一氏(東京医科歯科大学)の開会挨拶の後、奥田博子氏(国立保健医療科学院)は、地域健康課題を解決する保健師の立場から、1つの専門職だけでなく多職種連携で解決していくことの重要性を訴えた。 佐藤 保氏(岩手県歯科医師会会長)は、自身が経験した東日本大震災での活動や災害時に歯科医師ができることについて述べ、医療計画などに歯科を盛り込む政策の必要性を挙げた。 続いて、歯科衛生士の久保山裕子氏(日本歯科衛生士会副会長)は、日本歯科衛生士会の被災地での活動を供覧。東日本大震災後に見えてきた課題から『災害支援活動歯科衛生士実践マニュアル』を作成・改訂し、研修会などで人材育成を図っているとした。 その後、言語聴覚士の原田浩美氏(日本言語聴覚士協会常任理事)は、大規模災害リハビリテーション支援関連協議会(JRAT)の活動内容を紹介した。また言語聴覚士ができる生活機能の向上や生活不活発病の予防・改善に加え、情報共有をはじめとする多職種連携のつなぎ役としての役割を強調した。 最後に、笠岡(坪山)宜代氏(JDA-DATエビデンスチームリーダー)が、管理栄養士の立場で登壇。日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)の活動を紹介しながら災害時に必要なスキルアップと体制整備、「食べる」を支える職種ごとの強みを共有する大切さをアピールした。(本内容に関する特別座談会を小紙5月号にて掲載予定)平成28年度事業計画など全7議案が可決日歯第182回臨時代議員会多職種が一堂に会し、相互理解を深める場となる災害時の「食べる」を支えるシンポジウム 3月10日(木)、11日(金)の両日、歯科医師会館において日本歯科医師会(山科 透会長)による第182回臨時代議員会が開催された。 開会後、山科会長は挨拶の中で267日となる任期期間を振り返りながら、執行部として今回の診療報酬改定への対応や指導大綱の見直し、組織のあり方検討委員会、組織強化プロジェクトなど、6項目の重点課題に取り組んできたことを強調。また、現在進行している事業については、組織として次期執行部にしっかり橋渡ししていく姿勢も示した。 その後、会長予備選挙報告や社会保険関係報告、地域保健関係報告などの会務報告が各担当理事から行われたほか、議案として平成28年度の事業計画や収支予算、理事選任の件など全7議案が上程され、すべて可決された。 2日間にわたり協議された地区代表質問7題と個人質問13題では、歯科衛生士の養成・確保への対策や女性歯科医師の歯科医師会への参画など、臨床現場に直結する諸問題が挙げられ、熱心な質疑応答が行われた。

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