新聞クイント2016年8月(お試し版)
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2016年8月10日(水) 第248号2 今月のニュース政 治 今月のニュース社 会次世代を担う女性歯科臨床家の育成を目指す柳井智恵日本歯科大学附属病院教授女性歯科臨床家が学びやすい環境を協創したい 社会の中で女性の活躍が期待される昨今、歯科医療界においても女性の活躍を推進する動きが広がっている。歯科界には開業歯科医を中心とするスタディグループはあるが、2016年4月設立されたWomen Dental Academy for Implantology(WDAI)は大学人がファウンダーに名を連ねる。本欄では、会長を務める柳井智恵氏(日本歯科大学附属病院口腔インプラント診療科教授)に、今後の展望や方向性についてうかがった。柳井:ご承知のとおり、いまや全国の歯学部・歯科大学の学生の約半数は女性であり、女性歯科医師数は年々増加しています。また、超高齢社会を迎えたわが国において口腔ケアの重要性が国民に認識されつつあり、歯科衛生士の活躍も期待されています。このような背景のもと、日本の歯科医療における女性歯科医療従事者の果たす役割はますます大きくなってきます。 インプラント治療は、欠損補綴治療の1つの治療法として日常臨床の中で応用され、国民に対するインプラント治療への認識も高まりつつあります。歯科臨床の中においては、もはやインプラント治療に対する知識は必要不可欠なものとなりつつありますが、諸外国に比べて日本におけるインプラントロジストの数はまだまだ少なく、まして専門医の資格を有する女性歯科医師はわずかにしかすぎません。 そこで、本会はインプラントを主軸とする包括的臨床を志すすべての女性歯科臨床家(歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士)の教育支援、臨床家としての活躍を支援することを目的として、Women Dental Academy for Implantology(WDAI)を2016年4月に設立しました。さる7月3日(日)に開催された記念すべき第1回WDAI First Meetingでは、220名以上にご参加いただき、幸先の良いスタートが切れたのではないかと思っています。 本会は、インプラント治療を通して女性歯科臨床家の活躍の場を提供することを目指し、たとえば3つ教育プログラム①ベーシックコース、②メンター・プログラム、③年次総会・定例やない・ちえ1988年、日本歯科大学歯学部卒業。1993年、同大学歯学部大学院歯学研究科修了。1994年、同大学歯学部口腔外科第1講座助手。日本歯科大学附属病院口腔外科診療科講師、准教授を経て2015年より同病院口腔インプラント診療科教授。会――を設けて、女性が学びやすい環境をつくることでライフイベントとキャリアパス、ワークライフバランスを支援したいと考えています。また、次世代を担うリーダーを育成することは、本会が掲げる目標の1つでもあります。そのためには、学び続ける女性歯科臨床家の受け皿となるような会として、人と人とを繋げてネットワークをつくり、そのネットワークを活用して女性歯科臨床家の皆様が学びやすい環境を協創していくことが、本会としての役割ではないかと思います。 歯科臨床の現場において、女性ならではの視点を活かし、国民の口腔の健康としっかり噛んで食べることに寄与できる会として取り組んでいきたいと考えています。が誕生したことについて触れ、「次代を担う彼らが、この先も誇りをもって歩んで行けるような環境をつくることがわれわれの使命」と述べた。 その後、第1号議案「2015年度事業経過報告承認の件」、第2号議案「2015年度会計収支決算報告承認の件」、第3号議案「顕彰規程一部改正承認の件」の3議案が上程され、いずれも賛成多数で承認された。 引き続き、報告事項では「2016年度事業計画・予算について」「総合政策審議会答申について」「2016年4月実施歯科診療報酬改定について」「教 6月18日(土)、歯科技工士会館(東京都)において、日本歯科技工会(以下、日技、杉岡範明会長)による第5回社員総会が開催された。 開会後の挨拶の中で杉岡範明会長は、本年2月に開催された全国統一による歯科技工士国家試験が実施され、このたび1,104名の歯科技工士育研修事業について」「歯科技工士生涯研修規程施行細則変更について」「歯科技工所開設届け出等整備推進事業について」などの報告が行われ、代議員らとの意見交換が行われた。 その後、第4号議案「理事及び監事選任の件」では、理事および監事が選任され、社員総会終了後に開催された理事会において、杉岡氏が再選し会長に、夏目克彦氏が専務理事に、相談役に古橋博美氏が就任した。 総会終了後の記者会見では、杉岡会長ならびに夏目専務理事、三島良之氏(役員選挙管理委員会委員長)が出席。杉岡会長は執行部2期目のスタートにあたり、日技新発展「7」プランの推進ならびに修業年限3年以上を目指すなどを挙げた。 同月16日(木)、17日(金)に開催された日本歯科医師会(堀 憲郎会長)の第183回定時代議員会の個人質問の中で歯科技工士確保の問題が挙げられていたが、日技会員数8,545名(5月31日現在)となっている状況からも、歯科技工士だけでなく歯科界全体の問題として真剣に議論し対応する必要があると思われる。杉岡現会長が再選、2期目がスタート日技第5回社員総会有賀氏は自身が委員長を務めた「総合診療専門医に関する委員会」にも触れた。ネガティブ・キャンペーンのメリットは…… 絵 山香和信新しい専門医制度について有賀 徹氏が講演(一社)日本歯学系学会協議会 6月30日(木)、昭和大学旗の台キャンパス(東京都)において、一般社団法人日本歯学系学会協議会(宮﨑 隆理事長)による第14回講演会が「新しい専門医制度の現状と課題」をテーマに開催された。講師には、日本専門医機構副理事長(6月まで)の有賀徹氏(独立行政法人労働者健康安全機構理事長、昭和大学名誉教授)を招聘し、「医科における専門医制度の現状と展望」と題する講演が行われた。 有賀氏は、2017年度からスタートする予定の新専門医制度の最新動向や、医科における専門医制度の現状について概説。また、自身が委員長を務めた「総合診療専門医に関する委員会」にも触れ、研修プログラムの紹介や課題なども挙げながら、総合診療専門医の医師像について問題提起した。 その後の質疑応答においては、歯科における専門医制度のあり方について有賀氏は、「歯科医療全体を俯瞰できるような歯科医師が地域のリーダーシップをとり、地域住民のために行政と議論できる歯科専門医を輩出することが必要であろう」とアドバイスした。

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