新聞クイント2016年9月(お試し版)
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2016年9月10日(土) 第249号2 今月のニュース学 会 今月のニュース社 会口腔顔面痛の臨床・研究の普及を目指す研究者岩田幸一日本大学歯学部教授口腔顔面痛の新しい潮流をぜひ体感していただきたい さまざまな原因によって、歯が原因でない痛みが生じる「非歯原性歯痛」。近年、その領域は「口腔顔面痛」としての診断や治療が報告され、歯科のみならず医科領域にも周知されつつある。本欄では、口腔顔面痛の臨床・研究の普及を目指す岩田幸一氏(日本大学歯学部教授)に、口腔顔面痛の最新の動向についてうかがった。岩田:近年、臨床現場において、う蝕や歯周病などによる歯原性疼痛ではない口腔顔面痛に悩んでいる患者さんが増えてきているのを実感している歯科医療従事者は多いと思われます。「原因がわからない」といわれ、なかにはいくつもの歯科医院を転々とする患者さんも少なくありません。口腔顔面痛に関しては、わが国において現在多くの基礎研究がなされ、臨床現場では口腔顔面痛に対する新しい技術も開発され、積極的に治療が進められています。今後は、臨床で実践されている治療法の裏付けとなるエビデンスをより確立することが求められています。 また、世界における口腔顔面痛の動向を見ても、疼痛分野における最大の学術団体である国際疼痛学会(IASP)の中で、2013年10月から2014年10月までの1年間、Orofacial Painがグローバルイヤーに選定されるなど、口腔顔面痛の重要性が国際的に認められました。わが国にとっても口腔顔面痛の臨床・研究の追い風となることを期待しています。 そのようななか、きたる9月26日(月)から30日(金)にわたり、世界各国からさまざまな職種の臨床家や研究者が集う第16回世界疼痛学会(IASP2016)がパシフィコ横浜(神奈川県)において日本初開催されることは、日本の疼痛臨床および研究にとってたいへん有意義なことです。また、第16回世界疼痛学会の開催にともない、きたる9月24(土)、25日(日)の両日、神奈川県歯科医師会館(神奈川県)において、国際疼痛学会から正式に承認されたサテライト学会であるICOP 2016(第21回日本口腔顔面痛学会学術大会、第16回アジア頭蓋下顎障害学会学術大会、国際疼痛学会口腔顔面痛Special Interest Group on いわた・こういち1979年、日本大学歯学部歯学科卒業。1983年、同大学大学院歯学研究科修了。同大学歯学部助手、講師、大阪大学歯学部助教授を経て、2002年より同大学歯学部教授。第21回日本口腔顔面痛学会学術大会会長を務める。Orofacial Pain 2016学術大会)が開催できることは、大会長の1人としてたいへんうれしく思っています。 ICOP 2016は、3学会共同開催の特長を最大限に活用した盛りだくさんのプログラム(AACMDセッション、JSOPセッション、SIGセッション、ポスターセッションなど)となっています。また、両日とも日本語と英語のプログラムがありますが、2日目のSIGセッションは同時通訳付きとなっており、口腔領域の痛みの症例報告や臨床研究から基礎研究まで、今ホットな話題に関する情報など見どころ満載です。 会員の先生方には、口腔顔面痛の新しい潮流をぜひとも体感していただきたいと思います。 7月16日(土)、17日(日)の両日、東京ビッグサイトTFTビル(東京都)において、日本在宅医学会(平原佐斗司大会長)および日本在宅ケア学会(辻 彼南雄学術集会長)による、第18回日本在宅医学会大会・第21回日本在宅ケア学会学術集会 合同大会が「在宅医療とケアの原点」をテーマに開催された。2日間にわたり、多数の講演のほか、ワークショップ、市民公開講座、会員発表(口演、ポスター)などが行われ大盛況であった。 なかでも、2日目午前に行われた特別企画2「在宅医療における生活習慣病ならびに疾病管理基準―ガイドラインとの整合性と抱えている課題―」(共同企画:一般社団法人日本老年医学会)では、座長として葛谷雅文氏(名古屋大学大学院医学系研究科老年科学講座〔老年内科〕教授)、飯島勝矢氏(東京大学高齢社会総合研究機構教授)、演者として飯島氏、梅垣宏行氏(名古屋大学大学院医学系研究科地域在宅医療学・老年科学)、荒井秀典氏(国立長寿医療研究センター)、冲永壯治氏(東北大学加齢医学研究所老年医学分野)が登壇し、それぞれ高齢者の高血圧、糖尿病、脂質異常、肺炎の治療ガイドラインなどについて最新の知見が披露された。 また、2日目午後に行われたシンポジウム20「在宅医療とテクノロジー」では、座長として泰川恵吾氏(東海大学看護学部非常勤講師)、飯島勝矢氏、講師として星川安之氏(財団法人共用品推進機構専務理事)、吉藤健太朗氏(株式会社オリィ研究所代表)、坂本郁夫氏(パラマウントベッド株式会社取締役営業統括)、原 祐一氏(福岡県医師会理事)がそれぞれ登壇。多職種連携や在宅医療推進の観点に立ったシステムや製品が紹介され、講演後の質疑応答では活発な議論が交わされた。第18回日本在宅医学会大会・第21回日本在宅ケア学会学術集会合同大会開催堀日歯会長(写真左)と浦田健二熊本県歯会長。「在宅医療とテクノロジー」講演後の質疑応答の様子。メダル量産をサポートする歯科へ…… 絵 山香和信熊本県歯科医師会へ義援金7,600万円超を贈呈日本歯科医師会 8月6日(土)、日本歯科医師会(以下、日歯、堀 憲郎会長)は、平成28年熊本地震で被災した歯科医療機関および地元歯科医師会の支援に役立ててもらおうと、全国の歯科医師会や会員、歯科関係者などに募った義援金の目録を熊本県歯科医師会に贈呈した。 さる4月16日から6月末にかけて、日歯の広報紙やメールマガジンなどによって集められた総額は、7,622万3,407円(8月10日現在)となった(台湾歯科医師会からの義援金も含む)。 義援金の配分については当初、熊本県歯科医師会と大分県歯科医師会を予定していたが、大分県歯科医師会から辞退の申し出があったため、熊本県歯科医師会に全額贈ることになった。 贈呈式は同日開催された平成28年度第1回九州地区連合歯科医師会協議会の中で執り行われた。堀 憲郎会長は「今後も熊本県歯科医師会と連携して全力で対応していきたい」と述べ、目録を浦田健二氏(熊本県歯科医師会会長)に手渡した。浦田会長は、「会員の復旧・復興のために使いたい」と感謝の意を示した。

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