新聞クイント2016年12月(お試し版)
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2016年12月10日(土) 第252号2 今月のニュース社 会 今月のニュース2020年に向け、たばこのない世界へ…… 絵 山香和信生活の視点から地域づくりを実践する歯科衛生士近藤博子八百屋店主・歯科衛生士気軽に立ち寄れる地域の「保健室」としての役割を担いたい 現在、全国に広がりつつある「こども食堂」――。その名づけ親こそ「気まぐれ八百屋だんだん」の店主・近藤博子氏であるが、八百屋の店主以外にもう1つの顔がある。現役の歯科衛生士である。本欄では、近藤氏がこども食堂を通して考える地域のあり方と、「口から食べる」を支える歯科医療に対する想いをうかがった。近藤:私は、企業の診療所の歯科衛生士として、長年携わってきた仕事の中で人が生活するうえでもっとも大切なことは、「食」であると感じていました。みずから安心できる食材を提供したいとの思いから、無農薬野菜と自然食品を扱うお店を始めました。 その後、地域で子どもが独りで食事をしている現状を知り、そのような子どもを少しでも減らすことができればと思い、「こども食堂」をスタートしました。今でこそ孤食の問題が注目されていますが、地域にかかわるようになってから「食」をはじめ、歯科医療をより広く考えることができるようになったのです。 スケーリングやTBIなどがうまくいかずに悩んでいる歯科衛生士の皆さんは、患者さんの職業、家族構成、食生活など、その人をまるごと理解・把握されているでしょうか。その患者さんは、生活の中で何らかの原因でたった3分でさえ歯みがきする時間がないのかもしれません。スケーリングの技術を高めることはもちろん大切ですが、私は歯みがきの大切さを患者さん自身に気づいていただくことこそ、もっとも大事だと思っています。 その一例として、私が10数年にわたって現在でも月1回行っている保育園児(0~5歳児)の歯磨きボランティアがあります。子どもたちに「歯を磨くと気持ちいい」と、ただ気づいてもらうだけです。その結果、子どもだけでなく保護者の意識も変わり、フロスのしかたや歯・口に関する相談、そして歯科医院へ定期的にメインテナンスに行く方が増えてきました。 また、お店でたくわんなどを販売していると、高齢者に限らず食べることができない方々が多くいることにも驚きました。最近では、こども食堂で食こんどう・ひろこ1980年、東京医科歯科大学歯学部付属歯科衛生士学校卒業。企業の診療所に20年以上勤務。退職後、2008年に「気まぐれ八百屋だんだん」、2012年に「こども食堂」をスタート。地域コミュニティの拠点を目指す活動が全国から注目を集めている。事した後にフロスや歯みがきして帰宅する子どもたちも増えていますし、食材の料理方法から歯や口に関することまで生活の相談窓口となっています。子どもからお年寄りまでだれでも気軽に立ち寄れる地域の「保健室」としても、その役割を担うことができればと考えています。 地域にかかわることで見えてくることがたくさんあります。歯科医療従事者の皆さんは、ぜひともそのような生活の視点から歯科医療を考えていただき、医療者として患者さんが健康になっていくことの醍醐味を体験していただきたいと思います。 最後に、こども食堂のような地域のコミュニティの場が必要なくなり、地域がつながるような社会になってほしいと願っています。 10月21日(金)から23日(日)の3日間、マリンメッセ福岡(福岡県)において、日本デンタルショー2016福岡(一般社団法人日本歯科商工協会主催)が、「歯科医療 未来と夢」をテーマに盛大に開催された。九州初となった第23回日本歯科医学会総会の併催として開催された展示会場には152社が出展し、国内最大規模のデンタルショーと呼ぶにふさわしく、多数の歯科関係者が来場した。 21日(金)の特別内覧会前に開催された開会式では、主催者を代表して森田晴夫氏(一般社団法人日本歯科商工協会会長)、来賓として堀 憲郎氏(日本歯科医師会会長)、住友雅人氏(日本歯科医学会会長)、水田祥代氏(第23回日本歯科医学会総会会頭)による挨拶がそれぞれ行われた。その後、渡邉啓介氏(日本デンタルショー2016福岡実行委員会委員長)による開会宣言とテープカットが行われた。 会場では3日間にわたり、第23回日本歯科医学会総会の学術プログラムで見られたさまざまな歯科医療機器や歯科材料などを積極的に説明する出展者の姿や、実際にそれらを体験する来場者の様子が見られた。また、福岡県歯科衛生士会と福岡県歯科技工士会をはじめとする23題におよぶ出展者セミナーでは、時代に即したテーマで立ち見が出る会場も見られるなど、明日からの臨床に活かせる充実した内容が展開されていた。 なお、次回の日本歯科医学会総会ならびに日本デンタルショーは、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催にともない、きたる2021年9月23日(木)から25日(土)の3日間、パシフィコ横浜(神奈川県)において開催予定。国内最大規模の歯科展示会が盛況となる日本デンタルショー2016福岡会場は、すべての歯科関係者の交流や情報交換の場となっていた。平成30年度同時改定に向け、日医と日歯が意見交換日歯定例会見ことが報告された。本意見交換会は、平成30年度の診療報酬および介護報酬の同時改定に向けて、日本医師会と日歯が医療提供者として今後の医療政策に関する認識および目的について必要な共有を図り、国民のための医療提供体制の整備に向けの合意や歯科医療の現状と目指す方向性について、日本医師会に理解していただくことを目的としたもの。堀会長は「内容は総論的であったが、医療費財源確保に関して、日本医師会と日歯の組織運営について、また2020年東京オリンピック・パラリンピックに対する対応など多岐 10月27日(木)、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、堀 憲郎会長)による定例記者会見が開催された。 会見では堀会長より、「日本医師会、日本歯科医師会役員意見交換会」が10月25日(火)に初めて行われたにわたる内容について意見交換がなされ、期待以上に意思の疎通が図れた」と述べた。 その他には、社会医療診療行為別統計から平成26年と平成27年の比較、第3期特定健診・特定保健指導に歯科の関連項目が初めて追加されたこと、病床機能報告への歯科項目の追加、日本歯科総合研究機構による歯数と医科医療費との関連(ナショナルデータベース〔レセプト情報・特定健診等情報データベース〕による検討)などの資料提供とともに説明がなされた。政 治

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