新聞クイント2017年2月(お試し版)
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2017年2月10日(金) 第254号2 今月のニュース政 治デンツプライシロナの顔北本優子デンツプライシロナ㈱代表取締役社長人の心をつかむ経営を展開していきたい 2016年2月末、デンツプライ・インターナショナルとシロナデンタルシステムズの対等合併が完了し、世界最大級の歯科用製品・機器メーカーが誕生した。それにともない、本年1月1日付でデンツプライシロナ株式会社の新社長に就任した北本優子氏。氏は、米国本社も注目する日本市場で今後どのような手腕を発揮するのか。北本:歯科医療機器、歯科材料におけるマーケットリーダ―の2社が合併し、デンツプライシロナ株式会社(以下、デンツプライシロナ)が誕生したことで、歯科医療従事者の皆様へより多様な製品プラットフォームや総合的なソリューションを提供できるようになり、予防歯科から欠損補綴までのワンストップソリューションの実現が可能になりました。今後はつぎのような取り組みを目指していきたいと考えています。 1つめは、歯科医師の先生方をはじめとする皆様へ「より良く、より安全で、より早く」の歯科医療を提供することです。デジタル化の進展にともない、歯科医療に対する業務の効率化やヒューマンエラーの軽減などは、国内外問わず現在の歯科界において求められています。今回の合併によって、シナジー(相乗)効果がさらに高まるものと確信しています。 2つめは、パートナーとの信頼関係の構築です。私たちは製品販売会社として多数の歯科消費材料を取り扱っていますので、流通は製品の大小にかかわらず歯科ディーラー様や特約店様の存在なしでは語ることはできません。これまで以上に、顔の見える関係としてのよりいっそうの信頼関係の構築に努めていきたいと思います。 3つめは、さらなるブランド力の強化です。デンツプライシロナというブランド力は、ユーザーはもとより、スタッフに対しても安心感や期待感を提供できるものと自負しています。また、130年以上にわたり積み上げてきた歴史に裏打ちされた製品によって、患者さんの口腔健康に貢献できるものと考えています。 4つめは、企業の財産ともいえる「人財」です。デンツプライシロナは、もきたもと・ゆうこ2009年、シロナデンタルシステムズ㈱入社後、最高執行責任者。2013年6月、同社代表取締役社長。2016年12月、シロナデンタルシステムズ㈱とデンツプライ三金㈱の合併にともない、デンツプライシロナ㈱代表取締役社長に就任。ちろん私一人では運営することはできません。600名のスタッフそれぞれの強みを最大限に生かしながら、最良の結果を出す舵取りをすることが私に課せられた使命と思っています。また、中身は外資系ですが、日本の企業以上に日本企業らしくありたいですし、数字や製品だけでなくアフターフォローなども含めた包括的な評価として、スタッフや取引先も含めた人の心をつかむ経営を展開していきたいと考えています。 最後に、日本市場ならびに歯科医療従事者の皆様が求めている歯科医療のゴールと優先順位とをしっかり見極め、私たちのビジョンである世界中の人々の口腔健康に貢献するために革新的なソリューションを提供してまいる所存です。り、これら機能の低下はフレイルとも関連が強いことがわかっています。 歯周病やむし歯などで歯を失った際には適切な処置を受けることはもちろん、定期的に歯や口の健康状態をかかりつけの歯科医師に診てもらうことが非常に重要です。また、地域で開催される介護予防事業などさまざまな口腔機能向上のための教室やセミナーなどを活用することも効果的です。3. 「8020運動」と「オーラルフレイル」の関連 厚生労働省と日本歯科医師会が平成(1面より続く)この「オーラルフレイル」の始まりは、滑舌低下、食べこぼし、わずかなむせ、かめない食品が増える、口の乾燥等ほんの些細な症状であり、見逃しやすく、気が付きにくい特徴があるため注意が必要です。2. 「オーラルフレイル」への対応 高齢期における人とのつながりや生活の広がり、共食といった「社会性」を維持することは、多岐にわたる健康分野に関与することが明らかとなっております。この多岐にわたる健康分野には歯や口腔機能の健康も含まれてお元年から展開している「8020運動」は、80歳で20本以上の歯を保ち、何でもかんで食べられることを目指して推進してきています。当初わが国の8020達成者はほんの数%であったものが、現在では40%を超えるほどになっています。日本歯科医師会は、この「8020運動」に代表される国民運動をさらに発展させるべく、東京大学高齢社会総合研究機構や様々な関係者の協力のもと、「オーラルフレイル」という新たな考え方を示し健康長寿をサポートするべく、発信・啓発していきます。4.「オーラルフレイル」の展望 「オーラルフレイル」の考え方や調査研究は現在進行形で進んでいるところであり、新たな知見やエビデンスの追加が今後さらに必要になってきます。また、急増する高齢者への現場での対応を含めて、日本歯科医師会会員が今後さらに研修および日常の臨床へと努力していくものであります。 2016年4月、わが故郷を襲った熊本地震。激しい地鳴りと揺れで目を覚ますと、自宅2階部分が大きくしなり、いく度となく私は壁に打ち付けられた。圏外となっているスマートフォンは使えない。南阿蘇村の実家の両親とその夜泊まっていた息子の救出に急いで車で向かう。実家は一部損壊で済んだが、母も息子も助けを求めて泣き叫んでいた。割れたガラスや家具などが散乱している真っ暗な勝手口からスマートフォンの明かりだけを頼りに、脳梗塞片麻痺の既往がある父を倒れた家具のすきまから救出した。必死だった。緊急地震速報が続くなか、家族4人で狭い車の中に身を寄せた。カーラジオから流れてきた阿蘇大橋の崩落という情報を聞いた瞬間、「もうこれまでか……」と頭をよぎった。 一夜明け、田舎の上空を多くのヘリコプターが旋回するなか、「ふるさとのために何ができるのだろう」と天を仰いだ。災害に対する十分な知識はない。しかし、健康で元気な女、母、そして歯科衛生士として役に立ちたい。そう覚悟した。 「生き延びた命に忍び寄る誤嚥性肺炎から高齢者を救いたい」。その気持ちだけで全国からいただいた歯ブラシや口腔ケアグッズを入れたリュックを背負い、車を乗り捨ててみずから走り回った。 また、集団での避難生活は我慢の連続であった。赤ちゃんや小さな子どものいる母が抱える授乳の際の周囲への気遣いや仕上げ磨きの難しさ。震災発生から2週間お風呂に入れず、その後1か月は自衛隊風呂にお世話になった。自衛隊風呂は深い浴槽だったため、杖をついた高齢の女性を支えたり、一人で3人の小さな子どもを入浴させる母親には、私が赤ちゃんをだっこしている間にゆっくり洗ってもらったり、おせっかいな女子力全開。 今回の地震で気づかされた普段の当たり前に感謝して、全国からいただいた支援に感謝しながら一緒に力を合わせてきた10か月。人として、母として、歯科衛生士として「一隅を照らしたい」。 ふるさとのために。(村本奈穂・介護老人保健施設リハセンターひばり 常勤歯科衛生士)生かされた命、ふるさとのために。リレー連載 ②繋ぐちから■おわびと訂正■1月号の「歯科人 新年の一言」の17面に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。【誤】 奥村一彦/北海道医療大学歯学部生体機能・病態学系組織再建口腔外科学分野教授【正】 奥村一彦/北海道医療大学歯学部生体機能・病態学系組織再建口腔外科学分野准教授繋ぐちから

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