新聞クイント2017年8月(お試し版)
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2017年8月10日(木) 第260号3 今月のニュース学 会について」、又賀 泉氏(日本歯科大学名誉教授)が「歯科器材の再生処理の現状について」と題する講演を行った。 田口氏は講演のなかで、「歯科医療の安全を確保して感染を防止するためには、歯科医療従事者が全患者にスタンダードプレコーションを実施することであり、また歯科医師による院内感染対策を奨励し、援助するために国が適切な処置を講じることが望まれる」と述べたうえで、歯科治療が原因で発生したと考えられるHCV、HIV感染の海外での事例を示し、また診療室の完全個室化、タービン・ハンドピースの洗浄・滅菌・保管法、ユニットに汚染された水や空気が通らないろ過システムなど自らの40年以上にわたる臨床経験から導き出した歯科診療所での院内感染予防対策について具体例をあげて解説、さらに歯科治療における血液検査の必要性にも言及した。 また、又賀氏は口腔内常在菌の種類とその感染症の発生から口腔外科での外科用器材の再生処理、安全性確立のための洗浄・滅菌の実務の現状について解説した。 6月29日(木)から7月1日(土)の3日間にわたり、パシフィコ横浜(神奈川県)において第92回日本医療機器学会大会(加納 隆大会長、矢冨裕理事長)が「新たな医療技術との出会いを求めて」をテーマに開催され、特別講演、教育講演、シンポジウムのほか、100題を超える一般演題などが行われた。大会参加者の多くが医科医療関係者を占めるなか、2日目には歯科医師による滅菌技士・師対象の特別講座が行われ、田口正博氏(東京都開業)が「歯科医療機器の洗浄と滅菌演者の講演を熱心に聞く参加者ら。特別講演の様子。登壇する田口正博氏。 今月のニュース企 業いて解説した。 GBTとは、体系化されたプロトコールを用いて患者に自身の口腔内の状態を示し、メインテナンスの必要性を理解してもらい、天然歯をはじめインプラントや補綴物を長持ちさせたいという動機づけをしたうえで、AIR-FLOW®やPERIO-FLOW®を使用して歯肉縁上や歯肉縁下のバイオフィルムを取り除き管理することであると説明。SRPや根面デブライドメントと同様の効果を示すだけでなく痛みが少なく快適であることを強調するとともに、従来のような鋭利な刃を使用しないため、軟・硬組織ともに低侵襲のメリットがあるなど、さまざまなエビデンスを供覧しながら詳説した。 午後には竹内泰子氏(東京都開業)、河合竜志氏(茨城県開業)、山口幸子氏(尾崎デンタルクリニック・歯科衛生士)が登壇し、GBTを活用した臨床例や歯科衛生士の働きやすい環境などを紹介。質の高いプロフェッショナルケアを実現するGBTは、患者と術者両方にメリットがあると、それぞれの立場より説明がなされた。GBTという新しい考え方に関心集まるThe First AsianCongress in Japan 7月9日(日)、品川グランドホール(東京都)において、The First Asian Congress in Japan(EMS主催)が「SPTの常識が変わる!Guided Biofilm Therapy」をテーマに開催され、300名以上の歯科医師および歯科衛生士が参集した。 主催者挨拶のあと、午前はDr. Neha Dixit(EMS Scientific and Clinical Affairs Manager)、Prof. Magda Mensi(イタリア・ブレシア大学教授)がそれぞれ登壇しGuided Biofilm Therapy(以下、GBT)につ「新たな医療技術との出会いを求めて」をテーマに第92回日本医療機器学会大会 今月のニュース学 会臨・産・学連携による成果物の発行記念会が開催日本歯科医学会 7月10日(月)、歯科医師会館において、「平成29年版新歯科医療機器・歯科医療技術産業ビジョン」および「歯科診療行為のタイムスタディー調査2016年度版」発行記念会(日本歯科医学会主催)が開催され、歯科関係者が多数参集した。 開会後、堀 憲郎氏(日本歯科医師会会長)、森田晴夫氏(日本歯科商工協会会長)、住友雅人氏(日本歯科医学会会長)による挨拶が行われた。その中で堀氏は、「今回のタイムスタディー調査は、中医協において歯科医療技術の評価を得るための戦略的な武器になる」と述べ、関係者の労をねぎらった。 引き続き、興地隆史氏(平成29年版新歯科医療機器・歯科医療技術産業ビジョン作成WG座長)による「平成29年版新歯科医療機器・歯科医療技術産業ビジョン」、小林隆太郎氏(歯科診療行為のタイムスタディー調査2016年度版WG座長)による「歯科診療行為のタイムスタディー調査2016年度版」の概要がそれぞれ説明された。その中で小林氏は、診療項目の所要時間と社会保険歯科診療報酬について言及。所要時間や技術度を含むドクターフィー的要素だけでなく、歯科医院に勤務するスタッフの人件費や診療器材、特に歯科特有の材料費や技工費をはじめとする必要経費など、ホスピタルフィー的要素の調査もふまえた総合的な分析の必要性を挙げた。 その後、汲田伸一郎(日本医科大学付属病院院長)による特別講演「臨床画像診断の新たなる展開」では、CT、MRI、PET、SPECTなど画像診断の最新知見が多数の症例とともに披露され、本会は成功裏に終了した。 今月のニュース企 業よび京セラ社の概要を述べた。続く「FINESIA System(概要)」において、吉成正雄氏(東京歯科大学)、中野貴由氏(大阪大学)、澤瀬 隆氏(長崎大学)3名の大学人から開発の基礎となる表面性状や骨基質の配向性、スレッドの角度に関する研究や理論が詳説された。 午後には「Digital Session」として井畑信彦氏(東京都開業)、丸尾勝一郎氏(神奈川歯科大学)、伊藤彰英氏(ていね社)が登壇。口腔内スキャナーやCAD/CAMを用いた症例を供覧し、本システムがデジタルデンティストリーにおいても有用であることを示した。「FINESIA System(臨床)」では、八木原淳史氏(茨城県開業)と林 美穂氏(福岡県開業)が発売に先立って臨床応用をしてきた本システムの臨床の勘どころについて解説。最後の「総括」においては、牧草一人氏(京都府開業)と水上哲也氏(福岡県開業)が、FINESIAシステムで採用されているプラットフォームスイッチングやモーステーパー型ジョイントなどのおもに形状に焦点を当てた講演を行ったうえで、その使用実感にも言及した。 7月17日(月)、TKPガーデンシティ品川(東京都)において、FINESIA発売記念講演会(京セラ株式会社主催)が「新たな視点からデンタルインプラントを再考する」をテーマに開催された。本会は、荷重方向を考慮してデザインされたスレッドを有し、配向性効果による骨質の向上が期待される新しいコンセプトのインプラントシステム「FINESIA(ファインシア)」の発売を記念したもの。 最初の「Introduction」では井上裕之氏(北海道開業)がFINESIAお各分野の最新技術の粋を集めた感のある新しい国産インプラントの今後に期待したい。FINESIA発売記念講演会に約900名が参集京セラ株式会社

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