新聞クイント2017年9月(お試し版)
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2017年9月10日(日) 第261号3 今月のニュース企 業 つぎに、石川善樹氏(予防医学研究者)が「人生100年時代における健康づくり~うま味という観点から~」と題し登壇。健康づくりの潮流が治療から予防へと変わっている今、つぎなる指標である「well being(満足の本質)」を紹介した。 午後は西田 亙氏(にしだわたる糖尿病内科院長)が「歯科的視点(歯点)こそが糖尿病栄養指導を変える ~栄養素指導を補食・咀嚼指導へ~」の題で登壇。糖尿病外来で味覚障害や咀嚼機能を診ずに栄養指導がされている現状を指摘し、歯科のさらなる情報発信と医科歯科栄養連携の構築を訴えた。 続いて、長谷川嘉昭氏(東京都開業)が「開業歯科医師からみた、噛めて美味しく食べることができる歯科医療の重要性」と題し、口腔機能の重要性について触れ、それを診る歯科医療従事者の役割を強調し、参加者を鼓舞した。 最後にメンタリストのDaiGo氏が「ポジティブになれる匂いと味わいの心理学」と題して登壇。嗅覚・視覚と心理の関係性を紹介し、参加者の関心を惹きつけていた。 8月6日(日)、パシフィコ横浜(神奈川県)において、第7回 DNA特別講演会「噛む、も味わう、も歯科 ~歯科のチカラでずっとおいしく~」(株式会社ヨシダ主催、山中一剛代表取締役社長)が開催され、約850名が参集した。 午前は笹野高嗣氏(東北大学大学院教授)が「世界が注目するUmamiを活用した味覚障害・ドライマウス治療 ~歯科医療のブレークスルー~」と題し、味覚障害について、唾液との関係性を中心に詳説した。開会の挨拶を述べる山中一剛氏。第7回 DNA特別講演会に約850名が参集し盛会に株式会社ヨシダ講師を務める中原 貴氏。 今月のニュース大 学科大学生命歯学部発生・再生医科学講座教授)による講義「歯の細胞バンクの概要と意義」が行われた。中原氏は歯の細胞バンクの流れから始まり、歯髄細胞の安全性(がん化しない)や多分化能、治療効果などに触れるとともに、歯科大学で最初となる細胞培養加工施設(CPF)など再生医療に向けたインフラ整備について紹介。また、適応症や注意点についても症例を供覧するなど、患者福祉の一環として地域医療の一助となる認定医の登録と細胞バンクのさらなる周知に期待を寄せた。 その後、大山晃弘氏(日本歯科大学生命歯学部NDU生命科学講座准教授)、吉田和正氏(同大学附属病院口腔外科医長)、石川 博氏(同大学生命歯学部NDU生命科学講座)による講義が行われ、受講者らは熱心に耳を傾けていた。 なお、本講習会はきたる11月19日(日)、12月3日(日)、同会場にて残り2回の開催が予定されている。 歯科医療の重要性が注目される昨今、歯の細胞バンクが将来の再生医療にむけた歯科の1つの柱になることが期待される。歯科大学初の細胞バンクへの関心高く、受講者多数歯の細胞バンク 7月30日(日)、日本歯科大学生命歯学部(東京都)において、「歯の細胞バンク」第2期認定医講習会(日本歯科大学・セントラルクリニック歯の細胞バンク主催)が開催された。本講習会は、近年注目を集めている再生医療に使用される歯髄細胞を保管するための知識や技術を習得するためのもの。第2期より他大学出身の歯科医師(認定医の推薦が必要)にも門戸を広げたことで、約60名の歯科医師が受講した。 会場ではまず、中原 貴氏(日本歯 今月のニュース企 業CAMの臨床応用の歴史を振り返ったうえで、現在はDDO社との連携によって補綴治療のフルデジタル化を自身の臨床の一部に取り入れ、大きな術者・患者満足が得られているとした。 その一方で、口腔内スキャナの臨床応用はまだ単冠に限られることや(天然歯の場合)、歯肉縁下への支台歯形成を要する場合は1mm前後までとすべきこと、歯肉圧排は二重圧排法とすべきなど、臨床応用上の注意点を解説した。また、インプラント補綴時のフルデジタル化についても言及し、その優位性と注意点が語られた。 その後は、DDO社社員により、口腔内スキャナのデモンストレーションや臨床上の問題点などが解説され、同社がこれまで手掛けたフルデジタルによる臨床例も多数示された。 本セミナーでは、適応症を見極めることで、補綴治療のフルデジタル化が無理なく臨床応用可能であることが示唆された。しかし、それには使用機器や周辺材料に対する十分な知識と、歯科技工士とのコミュニケーションが非常に重要であると感じられた。 7月23日(日)、全国町村会館(東京都)において、「フルデジタル導入セミナー」(株式会社デンタルデジタルオペレーション主催、以下DDO社)が開催された。本セミナーは、近年の歯科臨床における口腔内スキャナの本格普及を受け、これと既存の歯科用CAD/CAMとを組み合わせた歯科治療の“フルデジタル化”に対する理解と進展を目的に開催されたもの。 まず、小濱忠一氏(福島県開業)が、「口腔内スキャナの補綴治療への活用」と題して登壇。自身の歯科用CAD/講師を務める小濱忠一氏。フルデジタル導入セミナー、参加者の関心高く盛会に株式会社デンタルデジタルオペレーション注目を集めたシンポジウムの様子。 今月のニュース学 会第38回日本歯内療法学会学術大会、盛会となる日本歯内療法学会 7月22日(土)、23日(日)の両日、東京歯科大学水道橋校舎新館(東京都)において、第38回日本歯内療法学会学術大会(古澤成博大会長、五十嵐勝理事長)が「Reconfirmation of diagnosis in endodontics」を大会テーマに掲げ、約620名の参加者を集めて盛大に開催された。 大会テーマに焦点を当てたシンポジウム「歯内療法における歯科用コーンビームCTの活用」では、「歯内療法における歯科用コーンビームCT活用法」(後藤多津子氏、東京歯科大学教授)、「CBCTの有効性に基づく症例選択」(柴田直樹氏、愛知学院大学)の2題の他、最後にコーディネーターを務めた古澤大会長(東京歯科大学教授)も登壇し、根尖性歯周炎などの原因歯の特定や根近接、上顎洞・下顎管の位置確認など、その適応症が再確認された。 また、本大会は第14回日韓合同歯内療法学会学術大会も併催され、特別講演(KAE招待講演)にはDr. Hyun-Jung Ko(韓国・Ulsan大学教授)、林 美加子氏(大阪大学教授)の2名を招聘し、歯の亀裂や破折についての講演が行われた。早期発見のためのアイテムの紹介やどのような歯が破折しやすいか等の傾向が語られ、診断のよりどころとする事項が整理された。本学会恒例のテーブルクリニックは18題が用意され、聴講者が会場をはみ出すほどの盛況ぶりとなった。一般口演、ポスター発表の他、教育講演、デンツプライシロナ賞受賞講演が行われた。 なお、本学会は4月1日に日本歯科医学会専門分科会に昇格したこともあって、住友雅人会長による「日本歯科医学会会長との懇談会」も催された。

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