デンタルアドクロニクル 2011
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歯科研修・セミナーで学ぶ11をした場合、多くの院長が「人を経営資源の中でも最重要事項だと認識しています」と答えます。しかし、実際に現場で確認してみると、それを実践できていないケースが多いのです。 「現在、粗利の何%を人材教育へ投資していますか?」──常に利益に対して、何%の教育投資をしていくかなどといった、自らの指標を持って、教育に取り組むことをおすすめします。◆教育への投資に関しての指標 産業能率大学が実施した「経済危機下の人材開発実態調査~企業と個人の2つの視点から~」の調査結果では、正規従業員に対する全社の教育投資額の平均は5,960万円、1人当たりの平均投資金額は3.7万円という数値が出ています。 この調査では、ビジネスパーソンの自己投資に関しても言及しており、ビジネスパーソンが考える自己投資の金額は年間9.7万円、実際に投じた金額は年間7.5万円という結果でした。また、男女別では、女性・年間10.2万円、男性・年間6.9万円という結果が出ています。 一方で、学習する際の手段としては、 「書籍」………………………………43.1% 「通信講座の受講」…………………10.7% 「セミナー・イベントへの参加」…10.0% 自己投資をまったく行わない「特になし」 ………………………………………42.1% この結果から、一般ビジネスパーソンにおいては、自己投資しても良い金額から換算して、3,000~10,000円をセミナー等へ投資するとして、年間に1~3回程度しかセミナーに参加しない、ということが推定されます。セミナー参加に関しては、支援制度や評価制度に組み込むなど、医院側が積極的に参加を奨励する必要がありそうです。◆教育に関してのチェックポイント ・ 年間の人材教育時間として60時間を確保しましょう(月に5時間程度を基準に計画的に教育時間を組み入れる)。 ・ 教育に関しては、歯科知識・技術に限定することなく、社会人として身につけるべき幅広い見識が身につく機会とする。たとえば「効果的なメイキャップ」「ファッションについて」「カラーコーディネートの方法」など、女性として、1人の人間として興味を抱きそうなテーマに関しても、積極的に研修計画に取り入れましょう。来院者のニーズをウォンツに変える 現在の歯科医院では、ニーズやウォンツ創造の重要性が高まっています。それは、医科が悪化した症状を回復させることを目的としている業種であることに比べ、歯科は生命にかかわることこそあまりありませんが、来院者の人生を豊かにするという無限の可能性を持っている業種だからです。 歯を白くしたいというニーズが充足されると、「歯茎の黒ずみが気になる」「銀歯を白く、メタルフリーにしたい」というように、より高い次元の欲求(ニーズ)を望むようになっていきます。 「歯が痛くなってきたけれど、抜歯になるかなあ……、そうであれば○○歯科の○○先生に治療をお願いしよう。抜歯になるのであれば、今度は○○先生にインプラント治療をお願いしよう」というように、より来院者の願望が鮮明かつ具体的になるように、ウォンツを高める取り組みが必要です。これからの歯科医院では、来院者のニーズを発見し、そのニーズをウォンツにまで高めていく努力が必要だからこそ、そのような対応ができる人材の育成が重要になってくるのです。 このようにウォンツの創造など、歯科医院が永続的に繁栄するためには、治療技術とともに必要条件としての経営力、スタッフ力を含めた総合的な魅力づくりが不可欠です。そうすることで、ニーズよりももっと踏み込んだ願望であるウォンツを満たすことができるのです。 歯科医院の多くが人材投資によってサービスレベルを高め、魅力的な歯科医院が日本全国あらゆる場所にできることで、歯科業界は魅力的な業界になりますし、多くの歯科医院、技工所、関連企業がwin-winの関係になれるはずです。 積極的に人材への投資を行うことが、結果的に業界の発展、地域生活者の健康増進へつながっていくのです。人材への投資を積極的に行うことによって、スタッフ1人ひとりの夢とビジョンを実現できる歯科医院づくり、地域生活者の人生の豊かさを創造できる歯科医院づくりを実践していただきたいと思います。

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