デンタルアドクロニクル 2011
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18歯科界のトップが語る『売るためでなく つくりだすため』佐々木 今日は、株式会社茂久田商会の3代目社長の茂久田篤さんと、歯科界のカリスマ・山﨑長郎先生、そして私との鼎談ということで、経営者としてのポリシー、医療人としての責任と役割などについて、存分に語っていただこうと思っています。 とくに、若手の経営者として斬新な経営を実践しておられる茂久田社長には、私たちが持ち得ない新しい感覚の経営手法を披瀝していただけるのでは……と期待しています。 戦後すぐ初代が茂久田商会を創業して以来、2代、そして3代目の茂久田社長へと続いて、業績も順調に伸ばしてきています。まずは、その連綿と受け継がれた茂久田の理念と、バックボーンになっているポリシーについてお聞きしたいのですが。茂久田 創業以来、茂久田には65年間守り続けてきた3つのポリシーがあります。1つめが、資産は全部商売に使うために現金で持つ。投資のために不要不急な不動産を買ったり、証券や株式を買ったり一切しない。いつでもお客さんのために使える現金で持とうということです。2つめは、ブランド戦略・高品質戦略。輸入が簡単でなかった時代に、何とかこじ開けた輸入の扉が閉ざされないよう、品質が悪いもの、患者さんにとってリスクのあるものは一切取り扱わないということです。 3つめが少数精鋭主義。知識量1の人を100名よせ集めるのではなく、知識量10の人財を10名セレクトしてしっかり育て、茂久田の商品と茂久田の人間が高め合う、少人数な分だけ1人ひとりが高度な仕事を繰り返していく組織にするということです。山 﨑 茂久田さんの経営ポリシーを聞いて、改めて素晴らしい会社だと思いましたね。その頑なさは、かえって今の時代のニーズに合っているんじゃないの? 経営全般についてはユニークなやり方をしているんでしょうね。茂久田 私の考えていること・やりたいことを、当社のいろいろなパンフレットや本に著し、社内外に発信してきました。『売るためでなく、つくりだすため』という永遠のテーマを掲げ、全員が協力しながら活発に生産しています。ですから、当社のスタッフは、売ることよりも、先生方に「これから必要になりそうなものはどういうものでしょうか」といった質問をしながら情報収集に徹し、「道具や材料を売るのではなくて、未来の歯科医療を実現するために訪問するんだ」ということを、全員が認識して行動に移します。 そのため、営業には数量ノルマが一切ありません。その先にある先生方が必要なものを、私たちがつくれるかどうか、その一点を私も社員も、全員で追求しているんです。佐々木 茂久田さんは、取引先が世界中に50社ほどありますね。海外の会社と新しく取引を始める前には、相当厳しいチェックを行っているのでしょうね。茂久田 マテリアルが新しくなれば、その前後のプロトコルもおのずと変わり、時間配分やシステム全体が大きく進化しますので、私たちはその「進化し変わり続けることを前提に、この会社は製品をつくっているかどうか」に注目しています。 歯科医療機器・器具は、ドイツ人やアメリカ人にはぴったりでも、アジア人には重過ぎたり、硬かったりすることが多々あります。私たちが、日頃から先生方よりお聞きした意見や要望などを伝えたとき、きちっと聞いて対応してくれるかどうか。それができない会株式会社茂久田商会 代表取締役社長茂久田 篤新しい時代を切り開くMOKUDA茂久田 篤(もくだ あつし)株式会社茂久田商会 代表取締役社長。1994年、甲南大学経営学部経営学科卒業。瀧定株式会社に入社。同社が100年以上の永きにわたり、業界トップの売上高と利益を上げ続ける理由を業務の中で会得する。2000年株式会社茂久田商会入社。2001年取締役企画戦略室長、2002年専務取締役を経て、2008年代表取締役社長に就任。若手重用と現場第一主義を旨とする。日本歯科用品輸入協会理事、日本歯科商工協会国際委員会委員、日本歯科商工協会事業委員会委員。

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