デンタルアドクロニクル 2012
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巻頭特集1● 歯科における学会の現状と今後の展望~ 認定医・専門医が日本の歯科界を牽引する~ Quint DENTAL AD Chronicle 2012巻頭特集1● 歯科における学会の現状と今後の展望~ 認定医・専門医が日本の歯科界を牽引する~ Quint DENTAL AD Chronicle 2012はじめに 平成24年度は診療報酬と介護報酬改定の年にあたり、この情報誌が発行されるときには、熱い議論が交わされていることであろう。その議論には、とりわけ、学会を中心として歯科界が構築した、いわゆるエビデンスのあるデータが大きな役割を果たす。今でこそ、このことは認知されてきたとはいえ、学会会員を含めて、まだその重要性に気づいていないことに愕然とすることがある。 今回は「これからの歯科の学会のあり方」について、日本歯科医学会の役員、また中医協専門委員の経験から述べてみる。1 日本歯科医学会の役割 21の専門分科会と19の認定分科会を統括している組織が、日本歯科医学会である。日本歯科医師会も地区代表として、14名の評議員を送り出している。事業内容の詳細は後述するが、行政に対する公的な窓口の面もある。とりわけ医療保険に導入される新技術・再評価の提案にかかわる役割は重要で、歯科の新技術や既存の技術の再評価に関する提案書は、日本歯科医学会から提出する。 また、厚生労働省からの診療報酬改定にかかわる学術的質問も、日本歯科医学会を通して行われる。具体的には、各分科会から提出された提案書は、日本歯科医学会に設けられた歯科医療協議会で審査する。この段階で分科会に対して質問したり、再提出を求めたりすることもある。日本歯科医師会からの提案項目については、日本歯科医学会がまとめて受理し、その内容から、エビデンスのあるデータを持つ分科会に送った上で、そこから正式に提案書として提出されてくる。 これまで、分科会にはこの一連の流れが理解されていないところもあり、また分科会としてのコンセンサスが得られていない技術的項目も多く、結果として、行政への提案機関として十分な機能を発揮してこなかった。すなわち、日本歯科医学会として提出する提案書は、それを評価する診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会の委員をはじめとして、厚生労働省の担当者が財務省や中医協の支払側を説得できるレベルや内容になっていなかったのである。 このことは、平成18年4月から平成23年3月末まで、日本歯科医学会役員として5年間、また平成21年3月から平成23年2月まで、中医協専門委員として2年間就任していた体験から痛感した。 この間、私は専門委員という立場で平成22年度の改定作業に立ち会ったが、中医協の会議でオブザーバーとして出席可能な会議にはすべて出席し、診療側委員が行っている勉強会にも参加した。もちろん、点数貼り付けの現場にも立ち会った。多くの重要議題が中医協診療報酬基本問題小委員会で討議されることから、この会議への正式な出席を会長に求めたが、認められなかった。しかし、平成22年の改定後は、これまで基本問題小委員会で行われていた議論が総会の場で行われるようになり、実質的に要望どおりとなった。 ここでの経験を日本歯科医学会に持ち帰り、幹部会でその対応を検討した。具体的には専門分科会、認定分科会、日本歯科医師会保険対策委員会の委員たちとワークショップを開催し、提案にいたるルールの共有化、必要なデータの収集法、提案書の作成法、タイムスタディの重要性、そしてガイドラインを持つことの意義と作成法などに反映させることができた。これまで、分科会として診療報酬へ貢献するという役割は強く意識されてこなかったが、歯科診療所の先生方との連携が求められる分科会の重要なカテゴリーである。2 日本歯科医学会の今後 その各分科会の総本山ともいえる日本歯科医学会の今後のあり方が注目されている。ご存知のように、日本歯科医学会は日本歯科医師会の定款第74条の規定にもとづき、日本歯科医師会の中に組織化された学術団体であり、特別会計の形で運営されている。 平成18年6月に公益法人制度改革に関する3つの法律が公布され、平成25年11月末日までに、「一般社団(財団)法人」か「公益社団(財団)法人」への移行が規定さこれからの歯科の学会のあり方は̶大きな転換期と存在の重さ̶住友雅人 すみとも・まさひと日本歯科大学生命歯学部教授、日本歯科大学生命歯学部長、学校法人日本歯科大学理事平成7年から日本歯科大学附属病院副院長として歯科医師臨床研修制度に力を注ぎ、常に外来診療室か手術室で臨床の鬼となって活動する。平成13年、附属病院長に就任。病院長職に専念し、病院経営と診療参加型臨床実習、必修化に向けての歯科医師臨床研修の体制づくりに全力を尽くす。平成19年には歯科大学・歯学部附属病院として、東京医科歯科大学に次いで2番目、私立校としては最初に日本医療機能評価機構(Ver.5)の認証を受けた。平成20年4月からは生命歯学部長に就任し、学部のカリキュラムの見直しに着手。近未来の歯科界において注目を浴びる科目を導入することによって、また研究・臨床の現場に身をおく授業時間を積極的につくることによって、学生が歯科に夢を持てるカリキュラム環境を構築した。平成18年4月1日から平成23年3月31日まで日本歯科医学会総務理事ならびに副会長を歴任、その間、平成21年3月1日から平成23年2月28日まで中医協専門委員として平成22年診療報酬改定にかかわる。専門分科会での現在の役職は、日本歯科医学教育学会常任理事、日本歯科麻酔学会監事(プロフィール文責:編集部)。8

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