デンタルアドクロニクル 2012
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巻頭特集1● 歯科における学会の現状と今後の展望~ 認定医・専門医が日本の歯科界を牽引する~ Quint DENTAL AD Chronicle 2012巻頭特集1● 歯科における学会の現状と今後の展望~ 認定医・専門医が日本の歯科界を牽引する~ Quint DENTAL AD Chronicle 2012歯周治療のエキスパートになってほしい 日本臨床歯周病学会はもともと小さなスタディグループに似た形態で、「臨床歯周病談話会」として1983年にスタートしました。そして、現在は約3,000名の会員を擁し、歯周治療の研鑽を通じて歯科臨床の向上に努め国民の健康・福祉に寄与するため、研究発表や講演会等の開催、機関誌等の発行など、積極的な活動を行っています。また、専門医制度の問題も含めて、日本歯周病学会とも密接に連携しており、歯周病治療を志す多くの臨床家の方からの本学会への期待を強く感じています。 日本の現在の大学教育、卒後研修のシステムでは、大学卒業後すぐに患者が満足する治療を行うことは難しいといわざるを得ません。大学では以前と異なり実際に患者を診る機会が激減する一方、教育カリキュラムはインプラントをはじめマテリアルの進展とともに増加している状況ですから、大学時代に臨床の基盤を吸収することは難しいと考えられます。このような状況から、ポストグラデュエートコースやスタディグループ、あるいはもう少し大きな組織である学会というような卒後に学ぶことのできる場所が注目を集めています。この“場所”が、技術も知識も必要な歯科医師にとっては、とくに重要だと考えています。 もちろん勉強は1人でするのが基本ですが、雑誌や書籍、DVDで学んだとしてもやはり人間は弱いものですから、1人で勉強するのはやはり限界があります。これに対して、学会やスタディグループは1人の歯科医師がどのように一生かけて学んでいくべきかという道を指し示すことができると考えています。多くの歯科医師が所属していることから、膨大な知識を共有、交換できるという大きなメリットもあるのです。 たとえば1人の人間が限られた時間で1,000論文を読むのは難しいですよね。しかし、皆で手分けをすれば個々の負担はぐっと減り、いろいろな情報を共有することができます。現在は歯周治療、インプラント治療はともに情報量が大変多く、数年前とコンセンサスが異なる事項も多いのです。治療の潮流を知るという意味でも、学会組織の役割は大きいと思います。そして、この治療のコンセンサスがどれほど会員に伝わり、一定レベルに達した会員がどれほどいるかという指標の1つが、本学会の認定医制度だと思います。なお、日本歯周病学会の歯周病専門医取得の道も開けてきました。平成23年6月30日までの日本歯周病学会暫定期間中に歯周病専門医を取得した方は113名となり、本学会の歯周病専門医は合計175名(平成24年1月現在)となっています。今後は、日本歯周病学会の関連学会として、本学会認定医の方は日本歯周病学会認定医の方と同等の条件で、歯周病専門医を申請することができます。これは患者にとっても一定レベルに到達した先生を見つけやすくなり、また、日本の臨床レベルの向上にもつながると確信しています。多くの若手の先生に認定医・専門医を目指してほしい 臨床レベルの全体的な向上のためには若手の底上げが不可欠です。ただ認定医をとればよいというのではなく、患者に満足していただく治療ができるレベルが認定医であり、取得後も努力が必要だということを若手の先生方にはきちんと伝えていきたいですね。そのためには学会の広報活動も大変重要になってきます。そこで、指導医の先生方には、講演活動、雑誌や書籍への執筆活動を積極的に行っていただきたいですね。若い先生方のメンターを本学会から数多く輩出することが、将来の専門医制度確立への重要な道筋だと思います。 わが国の認定医・専門医制度はまだまだ患者に認知されていると言い切れませんが、きちんと制度を運用し、患者が歯医者選びの際、このシステムをうまく利用できるかたちが望まれます。たとえば患者が転勤などで引越しをしても、本学会認定医の医院で同じような一定水準の治療が受けられることが望ましいですね。なぜ、一生学ぶことが重要か? 歯科医師免許取得は、歯科医師人生の始まりであり、もう勉強をしなくていいということではありません。歯科医学は日進月歩しているわけですから、歯科医師は一生勉強が必要であると思っています。そして、患者もIT社会のなか、より多くの歯科に関日本臨床歯周病学会でともに学ぼう!宮本泰和 みやもと・やすかず京都府開業日本臨床歯周病学会理事長1983年、岐阜歯科大学(現 朝日大学歯学部)卒業。現在、京都府京都市開業、四条烏丸ペリオ・インプラントセンター。日本臨床歯周病学会理事長、朝日大学歯学部客員教授、JIADS理事長等の要職に就く。大学卒業後、小野善弘・中村公雄両氏に師事し、現在は学会・スタディグループ双方の理事長として活動の先頭に立つ。海外での講演活動もAAP、PRDをはじめ多く、海外に通じる臨床家である。10

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