デンタルアドクロニクル 2012
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巻頭特集1● 歯科における学会の現状と今後の展望~ 認定医・専門医が日本の歯科界を牽引する~ Quint DENTAL AD Chronicle 2012巻頭特集1● 歯科における学会の現状と今後の展望~ 認定医・専門医が日本の歯科界を牽引する~ Quint DENTAL AD Chronicle 2012する情報と容易に接することができるのですから、以前より治療レベルに厳しい目をもっているのです。たとえば私は大学卒業後約30年経過しますが、こつこつと勉強をしてきた人とそうでない人では大きな開きができるのはいうまでもありません。ある程度のレベルに達するには、積み重ねが必要ですから、ラーニングステージを誤ることなく、ベーシックからアドバンスな治療へと順を追って学んでいってほしいと思います。まずは患者さんとのコミュニケーションがきちんと取れることが最優先であり、つぎは予防、保存、歯周治療がベースになります。そこをクリアしたうえでの咬合、補綴、そして欠損補綴の1オプションとしてインプラントという順で学んでいく必要があります。しかし、今はそれが逆転しており、大学を出ていきなりインプラント治療を行うという風潮もあります。天然歯を残せない人がインプラント治療を行うとはとんでもないことだと肝に銘じてほしいですね。 歯科医療はあくまで“医療”なのです。患者の生涯にわたる健康を強力にサポートしていくことが必要です。医療機関として、応急的な治療ぐらいしかできない歯科医院と、再生療法まで治療オプションとしてもち、歯の保存ができる医院では、医療に対する貢献度はだいぶ違うと思います。どの業界でも同様ですが、企業努力なくして生き残ることはできません。現状に満足せず、患者の生涯にわたる健康獲得に向けて、良質な医療を提供できるよう、日々努力していく姿勢が不可欠です。浦島太郎になってしまわないように……。 また、世界に追いつけ追い越せという時代ではありませんが、やはり世界の歯科の動向は知っておくことが不可欠です。米国、欧州、アジアとその国の保険制度、そしてトピックや治療傾向などはやはり知識としてもち、臨床家としての引き出しを増やしてほしいですね。グローバルスタンダードを知るうえでも、学会に所属し学ぶことは不可欠です。8020に近づく時代に歯科医師のできること この30年間に確実に高齢者の残存歯数は増加しています。「20歯以上を有する者」の割合の30年の変化(厚生労働省歯科疾患実態調査)をみると、80歳以上で20歯以上有する者の割合は1975年に約6%であったものが、30年後の2005年では約18%と大幅な伸びをみせています。このように着実に残存歯数が増える傾向にあることがわかります。多くの歯科医師はまだまだ「8020なんて無理だ」と思ってしまいがちですが、諸外国で達成例もある今、多くの歯を有する高齢者とのかかわりは今後の大きな課題です。 高齢になって多くの歯を有し、そして健康で一生噛めるには、やはり「予防」と「メインテナンス」がキーワードになってきます。これはもちろん個々の歯科医院の取り組みだけでなく、保険医療制度のなかでどれほど重要視されるかが、今後の課題です。そしてもう1つは、国民へ予防の重要性をどれだけ啓発できるかということですね。 1人の人間がどれだけ高い技術で治療しても、ほんの一握りの患者しか相手にできません。そこで、各医院で技術レベルに差が出ないような歯科医療技術の底上げをしていくことが不可欠です。これには歯科医院、市町村、国単位で、国民が予防・メインテナンスの重要性を理解できる啓発活動が今後不可欠ですね。 まだまだ歯科医師にはやらなければならない責務が多くあります。国民のためにも、自身のためにも、日本臨床歯周病学会でともに学びましょう。大盛況だった日本臨床歯周病学会第29回年次大会(広島)。本学会初の試みである“聴衆参加型の「症例検討会」”も大好評であった。写真は初日の宮本理事長のあいさつ(左)とシンポジウムの様子(右)。11

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