デンタルアドクロニクル 2012
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巻頭特集1● 歯科における学会の現状と今後の展望~ 認定医・専門医が日本の歯科界を牽引する~ Quint DENTAL AD Chronicle 2012巻頭特集1● 歯科における学会の現状と今後の展望~ 認定医・専門医が日本の歯科界を牽引する~ Quint DENTAL AD Chronicle 2012日本の歯科界における同制度の重要性1) 専門医はセカンドオピニオンとなりうる 本書企画書には「セカンドオピニオンが当たり前となり…」と書いてありますが、日本ではセカンドオピニオンが当たり前とはなってはいないのが現状です。とくに歯科では、セカンドオピニオン外来がある病院はきわめて少なく、セカンドオピニオンに対する患者さんの認識も、単に主治医以外の歯科医師に相談して意見を聞く程度のものが一般的かと思われます。相談を受けた歯科医師もセカンドオピニオンとしての意見の重さを認識しているかどうかが疑問です。たとえば、訴訟に発展した場合にもセカンドオピニオンの意見が裁判で取り上げられるとの認識を歯科医師がもったうえで診査・診断し、意見を述べているかどうかが疑問です。ほとんどのケースが“単なる相談”なので、無料で行われていると思います。しかし、保険診療体系にセカンドオピニオン料金は含まれないため、正確には自費扱いとなります。ちなみに、東京医科歯科大学歯学部附属病院のセカンドオピニオン外来は、新たな診査等は行わず、主治医から診査資料を取り寄せて判断し、料金は31,500円で、毎月数例の事例があるそうです。また、診査が必要になったときには、通常の保険診療で行うそうです。 さらに、患者側には、セカンドオピニオンをとりたいという要望があることは事実です。しかし、誰に相談したらよいのかわからないのが現状です。他の歯科医師に相談するたびに、意見が異なるし、納得のいく説明をしてもらえないので、どうしたらよいのか余計にわからなくなってしまったというような意見も聞きます。いうまでもなく、セカンドオピニオンには専門性のある知識と理論的説明能力が要求されます。まずは、学会のホームページを利用して、専門医がセカンドオピニオンとなりうることをアピールする必要があると考えます。2) 保険診療体系にセカンドオピニオン制度を位置づけられないか さらに、日本の歯科医療にセカンドオピニオン制度を確立しようとすると、保険診療体系に位置づけるのがよい方策かと考えます。つまり、歯内療法はほとんどの医療機関で保険診療の範囲で行われており、費用も安く抑えられています。そのため、セカンドオピニオンだけが自費となると、診療費よりもセカンドオピニオン費用のほうが高額になり、国民に受け入れられないと考えるからです。また、現在の保険診療体系において、認定医や専門医は単なる学会認定資格であり、特別なメリットがあるわけではありません。セカンドオピニオンが専門医を保険診療体系に位置づけるための切り口になればと考えます。認定医・専門医を取得することの真の価値 現在のところ、専門医になったからといって、一般開業医に特別の待遇があるわけではありません(一部、保険診療体系における評価療養のなかで、専門医の優遇処置として根尖歯周外科処置の位置づけがなされています)。歯科医師過剰時代といわれている現在、増患対策セミナーやチラシなどが氾濫しており、そうしたセミナーの受講者も多いと聞いています。しかし、いつの時代も、より確かな診断能力と治療能力のある歯科医師が求められてきたという事実があります。 一方、患者側からは、専門医にみてほしいという強い要望があります。専門医取得に増患対策の単なる宣伝効果を期待するのではなく、より確かな診断能力と治療能力を身につけることによって、治す喜びを味わってほしいと願っています。歯内療法は補綴のための土台作りではなく、歯髄や根尖部歯周組織の病気を治す治療法です。確実に治せる確率が高まることにより、患者さんが患者さんを呼び寄せ、増患対策などは必要なくなるでしょう。 事実、歯内療法が得意な先生方の診療室は、どこも多くの患者さんが訪れています。歯内療法は痛みとの関わりが深いだけに、これを的確に治療できることは、患者さん世界の標準的治療指針にそった治療法を勉強しよう赤峰昭文 あかみね・あきふみ九州大学大学院歯学研究院歯科保存学研究分野教授九州大学病院歯内治療科教授日本歯内療法学会会長1974年、九州大学歯学部卒業。歯学博士。1989~1990年、米国ワシントン州・ワシントン大学留学。1994年、九州大学歯学部歯科保存学第二講座教授。2000年、九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座歯内疾患制御学研究分野教授。2002~2003年、総長補佐。2005~2008年、九州大学大学院歯学研究院長。2009年、九州大学大学院口腔機能修復学講座歯科保存学研究分野教授。2012年~日本歯内療法学会会長。16

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