デンタルアドクロニクル 2012
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巻頭特集1● 歯科における学会の現状と今後の展望~ 認定医・専門医が日本の歯科界を牽引する~ Quint DENTAL AD Chronicle 2012巻頭特集1● 歯科における学会の現状と今後の展望~ 認定医・専門医が日本の歯科界を牽引する~ Quint DENTAL AD Chronicle 2012■ 歯科技工士にも最新技術に乗り遅れないための学びが必須! 医療に携わる者全般についていえることですが、歯科医療の一翼を担うわれわれ歯科技工士にとっても、生涯学び続けることはたいへん重要です。私はとくに総義歯について執筆・講演を行う機会が多いですが、たとえ総義歯の形が今と昔で変わらないとはいっても床用材料や人工歯は進化していますし、デンチャーシステムなども含めてまだまだ学ぶべきところはあります。もちろん、インプラント技工やCAD/CAMシステムを応用した仕事をするならばその進化の速さはいうまでもなく、まさに日進月歩ですから、これに関する知識を仕入れることはもはや必然だと思います。 さらに、そうした補綴装置の製作技術自体を追求する姿勢も重要ですが、現在は医療にも品質管理が求められる時代です。補綴装置にまつわるトレーサビリティや感染管理などといった周辺分野も含めますと、学ぶことはまだまだ多岐にわたります。まずは医療人として、そういったことを知っておくことが最低限必要ということです。■ 「技術のつまみ食い」は傍目にも分かる! 一方、知識とは異なり、手を動かすための技術は一朝一夕で身につくものではありません。分野によっては、それこそ5年、10年がかりで修得する分野もあります。相撲界には「5年先の稽古」という言葉があるそうですが、これは「今日の稽古が明日すぐ役に立つわけではない」という意味で、歯科技工の世界にも通ずるものがあります。相撲中継をみていますと、序二段といった段階の若い力士は体中傷だらけで土俵に上がってきます。ですが出世して関取になると、いつもつるつるした体でいるわけです。これは稽古を繰り返す過程で、皮膚が強くなっているためでしょう。歯科技工士にも似たようなことがいえます。ベテランが着ている白衣はあまり汚れていないですが、経験の少ない若手ほどいろいろな汚れがついている……。いつでも白衣がきれいで、机の周囲もきれいな歯科技工士は幕内以上の実力だと思います。横綱級になると、それに加えて作業時の動きまで美しくなってくる。こうしたことは一朝一夕で身につくものではなく、研鑽を積み重ねるしかないのです。 しばしば、いろいろな勉強会にHow Toだけを求めて来られる方をみかけることがありますが、結局そういうスタンスですと技術のつまみ食いで終わってしまうと思います。演者や先達の話をじっくり味わおうとする方と、つまみ食いをしようとしている方の違いは、はたから見ていても分かるものです。前者には「この技術を自分のものにしたい」という魂が入っていますが、後者は「何か良い物があれば……」という軽い気持ちが透けてみえてしまう。たとえつまみ食いでも、すでに自分の中での基盤が確立されている方ならば良いかもしれませんが、最初からそういう姿勢では自分の中にしっかりとした幹が育たず、後の応用がきかなくなってしまうのではないでしょうか。やはり、歯科技工士の知識・技術は継続することによって養われるものだと思います。たしかに、つまみ食い的に学んだことが明日すぐに役立つ場合もあるでしょう。しかし、明日すぐには役に立たないような知識であっても、何年か先に自分の理解力が深まれば役に立つこともあるわけです。つまり、フィロソフィー(哲学)的発想の基となる基礎的学問を養うことが重要と考えています。■ 「日本歯科技工学会認定士」とは? さて、ここまでは歯科技工士が知識・技術を磨くことのたいせつさについて述べてきましたが、ここではそのための方法のひとつである「日本歯科技工学会 認定士制度」について紹介したいと思います。この制度は、「歯科技工学の専門的知識および臨床技能・経験を有する者により、歯科技工の高度な水準の維持と向上を図り、国民の健康福祉に貢献することを目的」(同学会認定士制度規則より抜粋)に設けられたものです。 この認定士となるためには、①歯科技工士免許を有すること、②会員歴が5年以上歯科技工士が生涯学び続けることの意義と「日本歯科技工学会認定士」資格について佐藤幸司 さとう・こうじ佐藤補綴研究室、明倫短期大学臨床教授、日本歯科技工学会理事1950年、大分県生まれ。1975年、大分県歯科技術専門学校卒業、納富哲夫先生に師事。その後戸井歯科診療所、安部歯科医院に勤務。1979年、東海歯科医療専門学校非常勤講師、1985年、佐藤補綴研究室開設、日本歯科技工士会生涯研修認定講師。1990年、名古屋市立大学医学部第一解剖学教室研究員。1996年、愛知医科大学病院歯科口腔外科非常勤。2002年、Ivoclar Vivadent社BPS国際インストラクター。2003年、明倫短期大学臨床教授、2009年、台北医学大学口腔医学院臨床教授、2010年、大阪大学歯学部附属病院招聘教員。18

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